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□Princess and...
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「ツナヨシ……愛している」

ツナは、胸を強く締め付けられ、激しく揺さ振られていた。

自分の望みが、元の世界に帰りたいというだけなら、こんなにも悩まなかっただろう。

だが、

(ジョット……)

それだけではないのだ。元の世界に帰りたい、家族や友人に会いたいというだけではなくて、

(ジョット……好き……)

ツナの心には、このままずっとジョット達と一緒にいたいという気持ちもあった。いつも側にいて、心から愛してくれる彼らの側に。

この時代に来て、始めは戸惑うこともあった。ジョットが、まるで自分をお姫様のように可愛がり、世話を焼いてくれることを。同じ男である自分を愛し、狂うほどの快楽を与えてくれることを。

だがそれは、心からツナを想って、大切にしてくれているのが分かったから……ツナも、どんどんジョット達のことが好きになって。

そしていつしか、ツナは彼らから離れたくなくなっていた。ツナも彼らを愛し、かけがえのない存在だと思っているのだ。

今すぐに帰りたいという気持ちと、このまま帰りたくない気持ち……この矛盾した二つの想いが、最近のツナを悩ませていた。

(俺…すごく贅沢だ……)

どちらも欲しいなんて……きゅ、と胸を締め付けられながら、ツナはジョットに抱き付いたまま眠りに就いた。少しも離れたくないかのように。





すぅすぅと、小さく寝息を立て始めた愛しい存在に、

「ツナヨシ……」

ジョットはそう呟くと、細い身体を一層強く抱き締めた。その全てを見透かす瞳を、微かに曇らせながら。


***


それから日が経つにつれて、ツナはどんどん元気がなくなっていった。一度自分の矛盾した感情を認めてしまうと、気持ちがどうしても悪い方へと向かってしまう。

他の守護者達もその様子に気付いていたのだが、ツナは無理に明るく、何でもなさそうに笑うので、彼らも何も言えなかった。

そしてジョットは、ここ最近は仕事が忙しいらしく、良く屋敷を空けることが多くなった。帰ってきた時は一緒に寝るのだが、キスだけでそれ以上のことはほとんどしない。
ジョットがいなくて、一人の時間が増えればツナはさらに深く考え込んでしまう。そして、いつも自分の我儘な願望に落ち込むのだ。

家族や友人に会いたい、だがジョットの側にいたい……心は、どんどん苦しくなっていくばかりで。

それにここ最近、ジョットがあまり自分を抱かなくなったことにも不安が募っていた。ひょっとしたら、彼は自分に飽きてしまったのではないかと。

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