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□Slave to passion
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自分の首に、革製の何かが巻き付いているのだ。そしてそこから、長い鎖が垂れ下がっていて。
鏡がないので見えないが、これは……
「っ……!」
まさかと思った時、部屋の隅にあるドアが音を立てて開いたので、ツナは驚いて身体を跳ねさせた。咄嗟に、布団をつかんで自分の方へ引き寄せる。
そして、
「あれ、目が覚めたのかい?」
「………!」
中に入ってきた何者かを、目を見開いて凝視した。
それは、真っ白という表現が一番似合う男だった。白い髪を左右に跳ねさせて、肌もツナとはまた違う種類の色白。吊り上がった切れ長の瞳と、片方の目の下にある痣のようなものが印象的だ。
そして服装も何かの制服のようで、上も下も白を基調にしていて。
部屋も白いが、その男の姿はさらに際立って見えた。
「気分はどうかな?沢田綱吉クン」
「っ…だ、れ……?」
にこやかに笑いながら近付いてくる男に、ツナは怯えたように後退る。
見ず知らずの人間に、突然名前を呼ばれたのも怖かったのだが……それよりも、笑っているが目が鋭くて、そしてその雰囲気にただならぬものを感じたから。
男は、そんなツナにさらに笑みを浮かべると、
「この時代の君とは初めましてだね?僕はミルフィオーレファミリーのボス、白蘭だよ」
「びゃくらん…?ぁっ……!」
聞いたことのある名前に首を傾げたのは一瞬で、ツナは酷く驚いて声を上げた。
何故ならそれは、この時代でボンゴレを脅かしているマフィアで、そして倒さなければいけないと聞かされたボスの名前だったからだ。
(この人、が……?)
まさか、京子を探しに出たはずが敵のトップに出会うなんて。ということは、自分は敵につかまってしまったのだろうか。ならばここは、敵のアジトで……自分の置かれた状況、そして目の前の男が恐くて、ツナはパニックを起こしていた。
「それにしても可愛いねぇ。この時代の君も良いけど、十年前は本当にちっちゃくて、今よりも純粋そうで」
「ひ、ゃ……!」
軽くベッドに乗り上げた白蘭が手を伸ばして、ツナの頬に触れる。冷たい手の感触に、大げさなくらい身体を跳ねさせた。
笑っているのに、何故こんなにも寒気がするのか。
白蘭は、そのふっくらとした頬をふにふにと弄びながら、
「僕の好きなマシマロみたいだ……」
「ゃっ…はなし、て……!」
「ほんと……ぐちゃぐちゃにして、食べちゃいたくなる」
「っ……!」