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□Sense of distance
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『本当に家庭教師みたいだよなぁ』
『ていうか、どっちかって言うと兄弟に見えねぇ?』
『それよりも、お姫様とその従者って感じ』
ツナとリボーンを見て、周りの人間はいつもそんなことを言う。別に悪気はないし、小中学生の時から言われていたことだ。
だが、
『つーかリボーンってさ、めちゃくちゃ頭良いのに何でこんな普通の学校受けたんだろ』
『それに、すげぇモテるのに彼女も作らねぇしなぁ』
『ツナの世話にかかりっきりで、そんな余裕ないんじゃねぇの?』
高校生になって、ツナも少しだが成長して……今まで何でもなかった他人の言葉が、酷く気になるようになった。それに、側にいるリボーンにも……
(ずっとこのままじゃ、駄目だ……)
いつまでもリボーンに頼りっぱなしではいけない。何でも自分でできるようにならなければ、と。
(でも、リボーンもどうして俺を……)
他に友人も作らず、ましてや恋人の一人や二人いてもおかしくないのに……登下校、学校にいる時はいつも一緒。休みの日だって、二人だけで良く遊ぶ。
それに、何故この学校へ入学したのかも気になる。リボーンなら区内一の……いや、有名な難関私立校も簡単に入れたはずなのに。
以前本人に聞いた時は、家から近くて楽だからという何でもなさそうに返事をしていた。何とも適当な志望動機だが、本当にそれだけなのだろうか。
(それでも、俺がずっと甘えてたらリボーンも迷惑だよね)
自分も、早くしっかりしなければ……そう思って、最近のツナは自分で宿題や勉強をしようとしたり、いろいろ頑張ろうとしていた。
だが、
「はぁぁ……」
放課後、ツナは自分の机に突っ伏して大きなため息を吐いた。ちなみに、リボーンは掃除当番でゴミを出しに行っている。
結局、一人で頑張ると決意しながら、今日も勉強や体育の時間、その他諸々……たくさんの場面で、リボーンに助けてもらってしまった。
(ほんと…俺ってダメダメだ……)
まだ、何か困ったことが起きれば無意識にリボーンを頼ってしまう。それに何よりも、性格は悪いがいつでも一緒にいたい友人だから。
だがこのまま大学、そして社会人になってもそれでは駄目な訳で……二つの矛盾した願望に、最近のツナは頭を悩ませ落ち込む日々を送っていた。
その時、
「おいツナ、リボーンどこに行ったか知らねぇ?」
「えっ?あ、今日は掃除当番だから……」
クラスメイトの一人がそう尋ねてきたので、もうすぐ帰ってくるよと伝えようとする。