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□共通点
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そして、その日の晩。
明日から連休で、久しぶりにゆっくりできるから、と……ツナ達の両親は、今日から泊まり掛けで旅行に出ていった。兄弟三人だけになってしまうが、恭弥と骸は料理ができるし、ツナも家事のお手伝いはできるので何の心配もされなかったらしい。
「ごちそうさまでした」
特に会話が多い訳ではないが、テレビを見ながら、兄弟でのごく普通の夕食を終える。
今日から数日間ゆっくりできるのだ。何をして過ごそうかなと考えながら、ツナは自分の食器を運ぼうと立ち上がった。
だが、
「っ、ぇ……?」
立った瞬間視界がくらりと揺れ、目眩のようなものに襲われてとっさにテーブルに手を付く。足元が覚束ない。
「綱吉?」
「どうかしましたか?」
不思議そうに尋ねる兄達。何でもない、と言いたいのに口も上手く動かない。
やがて、
「っ……!」
膝からがくりと力が抜け、意識がふっと遠くなって……ツナの記憶は、そこで途絶えた。
崩れ落ちる瞬間、何か暖かいモノに包まれたような気がする。
そして、自分を呼ぶ二つの声が、酷く遠くで聞こえた。
気絶したツナをしっかりと抱き留めて、
「……全く、もっと早くにこうすれば良かったんだよ」
「そうですね。そのせいで、またいらない虫を引き寄せてしまったのですから」
「まぁ、それも今日までだけどね」
「クフフ…ようやく……」
二人の兄が、今までに見せたことのないような表情で自分を見下ろしていたことを、ツナは知らない。
***
「ん……」
ツナが目を開けると、そこは自分の部屋だった。見慣れた天井が視界に映って、頭や背中に触れる柔らかい感触から、ベッドの上で寝ているということが分かる。
(あ、れ…?おれ……)
一体今まで何をしていたのだろうかと考えて、夕食後急に意識が遠くなったことを思い出す。どうやら、気を失っていたらしい。
だが、どこも具合は悪くなかったのに、どうして……だんだんはっきりとしてくる意識の中で、疑問ばかりがぐるぐると渦巻く。
その時、
「……目が覚めたのかい?綱吉」
「っ……!」
すぐ側で恭弥の声が聞こえて、ツナはびっくりして肩を跳ねさせた。見ると、ベッドの脇で声の主が静かにこちらを見下ろしていて。
さらに、
「良く眠っていましたね」
「ぁ……」
その隣には骸もいた。二人ともいつもと変わらない表情なのだが、何となく仄暗い雰囲気に、ツナは微かに不安を覚える。