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□A desire
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薄暗い生徒会室の中には、いくつかのテーブルと椅子、ソファーが置かれていて。壁ぎわには、本棚も並んでいるのが分かる。

そして、その一つのソファーの上で、

「ぁぁっ、ぁぁんっ……!」
「………!」

二人の生徒が絡み合っていた。それも、明らかにどちらも男子生徒で。

一人はツナと同じくらい小柄な、女の子にも見える容姿の生徒。上半身はカッターシャツを引っ掛けただけで、下にいたっては何も身に付けていない。
あられもない部分をさらして、床には脱ぎ捨てたスラックスと下着が散らばっていた。

そして、その生徒に覆い被さり、身体を深く繋げていたのは、

「ひゃぁぁっかい、ちょぉっ…ぁっきもちぃ、ですっ…!」
「っ……!」

(会…長……?)

それは、あの生徒会長だった。入学式の時に挨拶をしてくれた、いつも穏やかな笑顔を絶やさない、あの。

だが、

「……緩いな。もっと締めろ、イけないだろう」
「ひゃぁんっ……!」

今組み敷いている男子生徒の、白い臀部に己の怒張を突き立て、腰を打ち付ける様子にいつもの面影はなくて……冷徹な声音に表情、少年の尻を玩具のように叩く姿は、まるで別人だった。

(な、に…なに、が……)

余りにも衝撃的すぎて、頭が着いていかない。
元々性に疎く、自慰もほとんどしたことのないツナは、いきなりそんな生々しい行為を目の当たりにして、それも男同士で行われるその様子に……完全に思考を停止させていた。

しかもそれが憧れの先輩で、今まで見たことのないような雰囲気をして……どうすれば良いのか分からなくなる。

だが、その光景から決して目を逸らすことができなかった。

その時、

「………!」

不意に、冷たい表情で男子生徒を揺さ振っていた会長が、ドアの方を……ツナの方を振り向いて。

目が合ったと思った瞬間、

「っ……!」

ツナは、弾かれるようにその場から駆け出していた。

(どうしよう…見られ、た……?)

夢中で校舎を出て寮へ帰ると、激しく脈打つ心臓を何とか押さえようとする。

あんな場面を勝手に覗いてしまったのだ。もし、ばれて咎められたりしたら……。

(でも…暗かったし、誰かまでは…分からない、よね……)

一瞬会長と目が合ったような気がしたが、はっきりと顔までは見られていないだろう。それに、大勢いる生徒の中で、一年生の自分のことなど知るはずがない……そう言い聞かせて、ようやくツナは息を吐いたのだった。

そうすると、気になるのは先ほどの人物のことで。

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