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□A desire
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「―――ツナ、次移動だろ。早く行こうぜ」
「あ、待って……!」

どこかの教室で、ツナと呼ばれた少年……沢田綱吉は、移動教室で出ていくクラスメイトの後を慌てて追った。
幼い顔立ちに小柄な身体がまだ中学生にも見えるが、声を掛けた友人や他の生徒を見るとどうやら高校生らしい。


とある辺境の地にある、全寮制の私立高校。市街から離れているため、少し閉鎖的な場所だが……校風も穏やかで、部活動や行事も盛んな活気のある学校だ。

ツナは、今年この学校に入学したばかりの一年生なのだ。


特別教室へ向かう途中、友人と他愛ない話をしながら廊下を歩いていると……向こうの方で、他の女子生徒が何やら騒いでいるのが見えた。
何だろう、とツナは首を傾げるが、その理由はすぐに分かることになる。

「……あ、見ろよ。生徒会長だぜ」
「………!」

先に気付いたらしい友人が言って、そちらに視線を向けると……少し離れた廊下を、誰もが目を引くような容姿の男が歩いていた。
すらりとした長身に、モデルかと思うほど均整の取れた体付き。切れ長の瞳に酷く整った顔立ちは、だがノンフレームの眼鏡をかけ知的な雰囲気も醸し出している。

同じ制服を着ているのに、その男子生徒だけは他とは違っていた。

「会長、今日も格好良い〜!」
「姿が見られるなんて、超ついてるねー!」

遠目に見ながら、女子生徒達はうっとりとした視線を向けている。

そう……その人物は、この学校の三年生で、生徒会会長を務める男だった。成績は学年トップでスポーツも万能。
さらに穏やかな性格で品行方正、と教師からも絶大な信頼を得ている。

まさに、理想の生徒会長の姿を絵に描いたような人物だった。

おまけにあの容姿で、女子生徒が色めかない訳もなく……男子生徒の中にも、彼に憧れる者はたくさんいる。

だが、

「ま、女子が騒ぐのも分かるけどな。男でも見惚れそうなくらい男前だし」
「っ……!」

だがツナは、

「っ、早く…行こうっ…!」
「え?あ、おいツナっ…?」

その男からすぐに目をそらすと、教室へ向かう足を速めたのだった。その頬は僅かに赤く、どこか焦っているようにも見える。

(いつもの…会長、だよね……?)

そして、胸は戸惑いを隠せないかのようにドキドキとして、何とか落ち着けようとするがなかなかできない。だから、早くその姿が見えない場所へ行きたかった。

だから、

「あれ…?会長、今こっちを見てなかったか……?」

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