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□Welcome home!
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スカートの裾から伸びる白く細い足にはガーターベルトが着用され、膝頭を越える艶のある黒の靴下を履いていた。

頭にカチューシャまで付けて、はにかむように微笑むその少年は……どう見ても恋人であるツナで。獄寺は、しばらく口を開けたままぽかんとしていた。

これは何かの夢だろうか、と思ったくらいだ。

「……つ、ツナさん…いったい……?」
「え、えへへ……」

何とかそれだけを口に出すも、獄寺の声は僅かに震えていて。さらに、ツナが頬を染めて笑うので、やはり仕事の疲れで都合の良い幻覚でも見ているのかと思った。

だが、ツナは恥ずかしそうにスカートの裾を引っ張りながら、

「そ、その…せっかく久しぶりに、隼人とゆっくり一緒にいられるから……」

実は昼間、ツナが学校で頭を悩ませていると、ふとクラスの男子生徒が教室であるモノを見ているのが目に入った。それは、いわゆる大人向けの雑誌だったのだが……そこには、可愛い女の子がセーラー制服やらナース服やら、ちょっとマニアックな衣装を着て映っていたのだ。

ツナ自身はそういうものには興味ないし、獄寺一筋なのだが……どうやら男の中には、そういうのを好む人間がいるらしい。

(隼人も、そうなのかなぁ……?)

自分は女の子ではないし、可愛いなんて思わないが、もしこんな格好をして隼人が喜んでくれれば……。

そして……学校からの帰り、ツナは近くにある商店街で、そういう衣装を売っている店に寄った。そこで、たくさんあるのでかなり迷ったのだが、初心者ならこれがオーソドックスでお薦めよ!とちょっと怪しい感じのお姉さん(お兄さん?)である店長さんに勧められた、このメイド服を購入したのだ。

何というか、純粋なのに……いや、純粋だからこそ大胆で、どこまでもまっすぐ突っ走る姿には感嘆するところだ。

「隼人がこういうの、好きかどうか分からなかったけど……」

ずっとこちらを見つめたまま何も言わない獄寺に、ツナはちらりと上目遣いで様子をうかがう。もしかして、こういうことは嫌いだったかな、とドキドキしながら。

「今日はご馳走をいっぱい食べてもらって、お風呂も一緒に入って」
「っ……!」
「す、少しでも喜んでくれたら嬉しいなぁ、って…」
「っっ……!」

だが、わなわなと身体を震わせ始めた獄寺に、だんだん不安になってきた時、

「っ、ツナさん……!」
「ふわっぷ…!」

勢い良く近付いてきた身体に、強く抱き締められていた。

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