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□Welcome home!
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とある私立中学校に通うツナは、獄寺隼人という青年の住むマンションに下宿……というか居候をしていた。
獄寺は、某大手企業に勤めるエリート会社員で、毎日忙しく遅くまで働いている。
いろいろな訳があるのだが……ツナは実家から遠い、だがこのマンションからは近い学校に通うため、家事やお手伝いをする代わりにここに住まわせてもらっているのだ。
しかも、ただ同居しているだけではなく、
「では、行ってきますね」
「行ってらっしゃい」
朝食の後、スーツを隙なく着こなした獄寺が出勤するのを、ツナは玄関まで見送った。作ったお弁当を手渡して、再びキスを交わす。
すると、いつもならそのまま出ていくのに、再び顔を近付けてきた獄寺に、ツナは首を傾げた。どうしたのだろうか、と不思議に思い尋ねようとすると……彼は、ツナの耳元に唇を寄せて、
「……今日の仕事が終われば、少しゆっくりできるんです」
「んっ……!」
「ですから、今晩は……」
吐息がかかってぴくりと反応するツナに、獄寺は誰もが見惚れるような顔でくすりと笑った。
「……たくさん、エッチしましょうね?」
「………!」
わざと低く擦れた声で、そんなことを囁かれて……ツナは一気に顔を真っ赤にしたのだった。
そう……同性で暮らしおはようや行ってらっしゃいのキスまで交わして、さらにそんな行為まで行う二人は……立派な恋人同士だった。
***
(ああ、どうしよう……!)
今朝、恋人から甘いお誘いを受けたツナは、学校でずっとそわそわとしていた。授業も友人の言葉も何もかも、ほとんど耳に入らないほど。
ツナがこの学校に通うために同居して、やがて付き合うようになった二人だが……普段は獄寺の仕事が忙しくて、なかなか恋人らしい行為をすることができない。
特にここ最近は多忙らしく、毎日深夜に帰ってきてろくに眠ることもできないようで、獄寺の目元には薄らと隈ができていた。
そんな彼が、今日はゆっくりできると言うのだ。たくさん側にいられることが嬉しくて、ツナは自然と笑顔になった。
(……え、エッチもだけど…今日はご馳走を作って、元気になってもらいたいな)
居候という身で生活をさせてもらって、ツナはいつも彼に何かできないかと考えている。せめてもの気持ちで、慣れない家事をしたり彼の身の回りの世話をしているのだが……まだまだ足りないような気がして。