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□Lovely and beast
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いや、歩み寄ろうとしたのだが、
「るせぇ…!」
「うぉ゙っ!?」
酷くドスの聞いた声とともにいきなり銃弾が飛んできたので、慌てて避けるはめになってしまった。頬をギリギリ掠めたそれは、背後の壁をぶち抜く。
「ゔぉぉぃ危ねぇだろうがぁ!いきなり何しやがる!」
「………」
「それにテメェ、いい加減にしろよぉ゙っ!」
頬を流れた血を拭って、そして部屋の中の酷い有様を見て、スクアーロはついにぶちギレたのだった。
中は派手に壊れた様々な家具や調度品が散乱し、さらに部下と思われる複数の男達がぼろぼろになって倒れている。その中には幹部の一人であるレヴィも混じっている気もしたが、それは見なかったことにする。
とにかくこの惨状の犯人は、考える必要もなくそこのソファーにふんぞり返っている男……ヴァリアーのボス、ザンザスで。
いつも気に入らないことがあれば物を投げつけ銃をぶっ放し多くの部下を病院送りにするのだが……ここ数日はさらに酷かった。
理由は明白……お付き合いをしているボンゴレ十代目の沢田綱吉が突然入院して、さらにはあの元家庭教師から面会謝絶をくらったからで。
つまり、恋人に会えないのと、有り余る様々な欲求を吐き出せないからだ。欲求不満だ。
これまで苛々することがあれば、酒を飲み女を抱きひたすら部下に八つ当たりしていたのだが……ツナと付き合い始めてから、ザンザスは女を一切断った。
だから、矛先は残りの二つに向かってしまう訳で。だが、ここ数日だけでアジトをめちゃくちゃに破壊するわ部下を何人も再起不能にするわで……いくらスクアーロでも、我慢の限界だった。
(くそっ、アイツら…こっちがどれほど苦労してるか分かってんのかぁ゙…!)
何とかザンザスにツナを会わせようと、入院先まで頼みに行ったのだが……リボーンは駄目だの一言だし、望みのツナも「自業自得でしょ」で取り扱ってくれない。
仕方なく、スクアーロを始め隊員全員で何とかザンザスを抑えようとするのだが……そんなことで、この暴君の怒りが収まる訳もなく、
「おいクソ鮫。酒が足らねぇ。とっとと用意しろ」
「なぁ゙っ、だからテメェ調子に乗ってんじゃ…」
「るせぇカッ消す…!」
「ゔぉぉぉぃっ…!」
その言葉が言い終わらないうちに、どっかーんという爆発音がして……屋敷の一部が消し飛んだのだった。
心なしか見晴らしの良くなった部屋の中で、
(……あの、ドカスが)