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□Lovely and beast
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実を言うと、ツナが過労で入院した一番の原因は、何を隠そうヴァリアーのボス……ザンザスだったりする。
信じられないことに、恋人同士であるこの二人。忙しい合間を縫って会っては、お互い激しく求め合う仲なのだが……
(……だってザンザスの奴、人間を軽く越えてるんだもん)
そう、目付きはちょっと(いやかなり)悪いが、顔立ちやすらりとした身体はモデルのように整っているザンザス。だがその気性の荒さ、性欲は本物の獣のようで……一度行為を始めてしまうと、ちょっとやそっとのでは止まらなくなってしまうのだ。
朝まで解放してくれないことなんて当たり前。ツナが泣きじゃくろうが気絶しようがお構い無し。
その疲れ切った状態で、また一日中仕事……毎日ではないが、多忙な上に徹夜になることが少しでもあれば、いつかぶっ倒れるのも無理はない。
現に数日前の倒れた前夜、ツナはまるで肉食獣が小動物を貪るかのように抱かれ続けて、本気で死ぬかと思ったのだった。
(これはもう、自業自得だよね)
だって自分は、いつだってもう無理だと訴えていたのに全く聞こうとしないのだから。少しはお預けをくらって、反省すれば良いのだ、と。
(……でも)
そこで、ツナは少し拗ねたような表情をして、
(やっぱり、お見舞いに来てくれないのは…というか、しばらく会えないのは…寂しいなぁ……)
何だかんだ言って、自分もザンザスに惚れ込んでいるツナは、ちょっと物足りなさを感じてしまう。抱かれるのはしばらく勘弁だが、本当はいつでも側にいたいのだ。
(って、甘やかしちゃダメダメ!数週間なんて、あっという間でしょ)
それよりも、せっかくの休暇を満喫しなければ!と再びゲームに没頭するツナは知らなかった。
その恋人が今どんな状態で、そのせいでとんでもないことが起こってしまうのを。
***
そして、そのヴァリアーのアジトでは……現在、とてつもない緊張感が漂っていた。
誰かの怒号や悲鳴、凶器が飛びかうのは日常茶飯事なのだが……とにかく、ここ数日は特にそれが凄まじいのだ。
その原因は、
「っ、ゔぉぉぉぉいっ!このクソボスがぁぁっ!」
最上階にある一際大きな部屋に、ヴァリアーの作戦隊長スクアーロの怒鳴り声が響く。
ドアを吹き飛ばす勢いで蹴り開けた彼は、部屋の中を見ると眉間の皺を深くして、その奥のソファーに座る人物につかつかと歩み寄った。