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□Subjunctive mood
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「うわぁっ!?」
「何だコイツ…ぐぁっ…!」

全身の細胞が活性化されたかのように熱い。逆に頭の中は冴えていて、普段からは考えられないようなスピードで回転している。

きっかけなど、ツナはもう忘れかけていた。

学校から帰る途中、ツナと同じく気の弱そうな生徒がガラの悪い上級生に絡まれていて。助けたくても、自分では返り討ちに合うだけだし……とおろおろしている間に、リボーンに死ぬ気弾を撃たれてしまったのだ。
それからは、ただその生徒を助けることだけに必死で、頭がいっぱいになって。

そして、生徒を庇って逃がした後、複数いた上級生をぶっ飛ばしたところで……死ぬ気が解けたツナは、その場にへたり込んだのだった。

「っ、ぁぁぁまたやっちゃった…!ていうか、服……!」

死ぬ気になった瞬間に上下の服が破けてしまったせいで、下着姿のツナは大慌てだ。人助けをしたのは良いが、死ぬ気になる度に服が吹き飛び恥ずかしい姿をさらしてしまって。
それに、これでは自分が後で不良達に目を付けられてしまう訳で。

しかも、死ぬ気弾を撃ち込んだ張本人であるリボーンは、すでにどこかへ行ってしまって姿が見えなくて……ツナは、肌寒さと羞恥に腕を身体に回しながら、早くここから離れようとした。

だが、

「……っ、待てよ!」
「っ……!」

立ち上がろうとしたら、何者かに足首をつかまれて、再び尻餅を着いてしまう。見ると、先ほどぶっ飛ばした男の一人が、立ち直ったのかツナの細い足首をつかんでいて。

さらに、

「ってぇ…よくもやってくれたな…!」
「ダメツナのくせに!」
「ひっ……!」

周りで呻いていた上級生達も次々に起き上がって、こちらを睨み付けていて……ツナは、恐怖で身体を強ばらせた。当たり前だ、今は死ぬ気ではないのだから。

死ぬ気にならなければ、ケンカなどできないのだから。

(ど、どうしよう……!)

こんなことをして、ただで済む訳がない。仕返しされる、と恐怖したツナだったが……その男達は、それよりもツナの姿をまじまじと眺めていた。

「だいたいコイツ、何でこんな格好してるんだよ」
「というか、さっきとずいぶん雰囲気が違くねぇか?お前、あのダメツナだろ?」
「っ……!」

とっさに逃げることができずに後退るツナを、一人が捕まえて顔を覗き込む。名前を覚えられていたことよりも、にやにやとしたいやらしい笑みに、ツナは怯えた表情を見せた。

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