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□No image
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(俺は…いったい……)
何故、こんなことになったのか。男の部屋でお茶をして、いつものように何でもない話をして……そこからの記憶がない。
その時、
「っ……!」
部屋の向こうで何かが動く気配がして、ツナは身体を緊張させた。すぐ近くに、誰かがいるのだ。
やがて、
「………!」
寝室のドアがゆっくりと開かれ、入ってきた人物を見て、ツナは大きく目を見開いた。いや、薄々こんなことをしたのが誰なのかは分かっていたつもりだ。
だが、信じられなかったのだ。信じたくなかった、と言った方が正しかもしれない。
何故なら、本当に一緒にいると心地好くて、心から慕っていたから。理由は分からないが、まさかこんなことをするなんて少しも思わなかったのだ。
だから、
「……なん、で……」
出てきたのは、ただその言葉だけで。
「………」
そこには、さっきまでツナと話をしていた、ツナが慕っていた男が立っていた。こちらもジャケットを脱いでネクタイを外し、シャツの前を少し開けたラフな格好で。
「………」
男は何も言わない。やがて、ゆっくりとベッドへ近付いてきたので、ツナはさらに身体を強ばらせた。
恐怖はない。何故なら、男からは殺気が全く感じられないから。それに殺すのが目的なら、ツナが寝ている間にやっていただろう。
だが、その瞳からは何かただならぬものを感じて、少し不安を覚えたのだった。
「なぜ、こんな……」
ベッドのすぐ側へ立って見下ろしてくる男に、ツナはもう一度尋ねる。
だが、男はやはり黙ったまま……しばらくして、初めて表情を変えた。
「っ……!」
その、今まで見たことのないような暗い笑みに、ツナはぞくりと背筋を震わせる。背中に、何か冷たいものが滑り落ちた。
そして、
「………!」
「……ようやく、手に入ったな」
やっと口を開いた男の言葉を理解する間もなく……片方の手が伸ばされその冷たい手が頬に触れて、ツナはびくりと肩を跳ねさせた。男が何を考えているのか分からなくて、不安ばかりが募っていく。
「な、に……」
「……お前は、俺のものだ」
「え……?」
訳が分からず、聞き返そうとした瞬間、
「っ、ん……!?」
その顔が近付いてきて……気が付けば、唇を塞がれていた。まさかそんなことをされるとは思わなくて、一瞬頭の中が真っ白になってしまう。
だが、
「っ、んんっ……!」
「っ……」
「っ、はぁっ……!」