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(俺は…いったい……)

何故、こんなことになったのか。男の部屋でお茶をして、いつものように何でもない話をして……そこからの記憶がない。

その時、

「っ……!」

部屋の向こうで何かが動く気配がして、ツナは身体を緊張させた。すぐ近くに、誰かがいるのだ。

やがて、

「………!」

寝室のドアがゆっくりと開かれ、入ってきた人物を見て、ツナは大きく目を見開いた。いや、薄々こんなことをしたのが誰なのかは分かっていたつもりだ。

だが、信じられなかったのだ。信じたくなかった、と言った方が正しかもしれない。

何故なら、本当に一緒にいると心地好くて、心から慕っていたから。理由は分からないが、まさかこんなことをするなんて少しも思わなかったのだ。

だから、

「……なん、で……」

出てきたのは、ただその言葉だけで。

「………」

そこには、さっきまでツナと話をしていた、ツナが慕っていた男が立っていた。こちらもジャケットを脱いでネクタイを外し、シャツの前を少し開けたラフな格好で。

「………」

男は何も言わない。やがて、ゆっくりとベッドへ近付いてきたので、ツナはさらに身体を強ばらせた。

恐怖はない。何故なら、男からは殺気が全く感じられないから。それに殺すのが目的なら、ツナが寝ている間にやっていただろう。

だが、その瞳からは何かただならぬものを感じて、少し不安を覚えたのだった。

「なぜ、こんな……」

ベッドのすぐ側へ立って見下ろしてくる男に、ツナはもう一度尋ねる。

だが、男はやはり黙ったまま……しばらくして、初めて表情を変えた。

「っ……!」

その、今まで見たことのないような暗い笑みに、ツナはぞくりと背筋を震わせる。背中に、何か冷たいものが滑り落ちた。

そして、

「………!」
「……ようやく、手に入ったな」

やっと口を開いた男の言葉を理解する間もなく……片方の手が伸ばされその冷たい手が頬に触れて、ツナはびくりと肩を跳ねさせた。男が何を考えているのか分からなくて、不安ばかりが募っていく。

「な、に……」
「……お前は、俺のものだ」
「え……?」

訳が分からず、聞き返そうとした瞬間、

「っ、ん……!?」

その顔が近付いてきて……気が付けば、唇を塞がれていた。まさかそんなことをされるとは思わなくて、一瞬頭の中が真っ白になってしまう。

だが、

「っ、んんっ……!」
「っ……」
「っ、はぁっ……!」

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