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□Sweet dream
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早朝。外から小鳥のさえずりが聞こえ、窓からは陽の光が差し込んで明るい……広くて豪奢な、どこかの部屋の中。

その奥にある天蓋付きの豪華なベッドに、一人の少年が眠っていた。歳は十代半ばくらいだろうが、あどけなく眠る様子は、もっと幼く見える。

そこへ響く、ドアをノックする音。

「――綱吉様、おはようございます。朝ですよ」

次いでドアの向こうから聞こえる、まだ若い……そして、透き通るように綺麗な男の声。

だが、規則正しい寝息をしながら眠る少年には聞こえなかったようで、起きる気配はない。

「……失礼致します」

もう一度ノックの音がした後、やがて部屋の扉が静かに開いた。

入ってきたのは、しなやかな身体を燕尾服に包んだ、まだ二十代半ばの青年。
だが、煌めくような金の髪に同じ色の瞳、酷く整った顔立ちは日本人のそれではない……かなりの美貌の持ち主だった。

青年は、優雅な足取りで奥にあるベッドへ向かうと、少年を覗き込みそっと肩に触れる。その立ち居振る舞い、仕草の一つ一つも精練されていて酷く美しい。

「綱吉様、起きて下さい。学校に遅刻してしまいますよ」
「ん、ぅ……」

綱吉と呼ばれた少年は、肩を揺すられてぞもぞと身動ぎする。やがて、ようやく起きたのか薄らと目を開けると、女の子のように大きな瞳が現れた。

パチパチと何度か瞬きした後、少年はゆっくりと視線を上げて、

「っ……!」

まだ眠そうな瞳が青年の姿を映した瞬間、一気に目が覚めて飛び起きた。

「っ、ぁ……!」
「おはようございます、綱吉様」
「お…おはよ、ぅ……ジョット……」

優しく微笑みかけられて、綱吉……ツナは、頬を真っ赤に染めてすぐに視線をそらしてしまう。ジョットと呼ばれた青年は、そんな様子にさらに笑みを深くした。

「旦那様は昨夜からイタリアの本社に向かわれて、今回は一週間ほど帰ってこられないそうです。奥様も、今朝は早くから家を出られました」
「そ、そう……」

ツナの父親は巨大企業の社長で、一年中忙しなく世界を飛び回っている。母親も世界的に有名な女優なので、家にいることがほとんどない。
そんな資産家の家に生まれたツナは、この巨大な屋敷で、大勢の使用人達に囲まれながら生活して育てられてきた。

両親とあまり会えないのは寂しいが、二人ともツナを心から愛しているし、家に帰れば時間の許す限り可愛がってくれる。それに、家に仕える執事やメイド達も皆優しくて、ツナは何不自由ない生活を送っていた。

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