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□Fourth education
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大勢の人がいる所で、妙な気持ちになってしまったら……。
(はぁ……)
結局その夜、ツナはぐるぐると考え込んでしまって、なかなか眠れなかった。
***
そして次の日。ツナは家光と一緒に、隣町にある大きなショッピングモールへと出かけた。電車をいくつか乗り継いで、駅からは徒歩で向かう。
昨夜、いろいろと心配をしていたツナだったが、
「――それでねっ!」
「ははっ、そうかそうか!」
いざ出かけてみると、ツナはそれが余計な心配だったということがすぐに分かった。
いつも何かとお騒がせなチビ達と友人達はいなくて、たまに無茶を言うが可愛がってくれる父親と二人きり。ツナが普段の学校のことを話せば、家光は笑って熱心に聞いてくれる。
それが嬉しくて、ツナは夢中になって話をしていたので、ショッピングモールへはあっという間だった。
そして目的地に着いてからも、二人はいろんな話をしながら店を回っていた。ツナはゲームだけではなく服なども買ってもらったし、奈々やチビ達のお土産なども二人で選んだ。
また、レストランでお腹いっぱい食べさせてもらって、ツナは大満足だった。
そして、のんびりとお茶をしているうちに夕方になって……ようやく、二人は家に帰ることにしたのだった。
「今日は楽しかったか?ツナ」
「う、うん……」
駅のホームで電車を待ちながら、家光がふと尋ねてくる。その穏やかで優しげな表情に、ツナは僅かに頬を染めた。
今までは話すのに夢中で気にならなかったが、落ち着いてみるとやはり恥ずかしいというか、何だか照れくさくなって。
でも、
(来て良かった……)
幼い頃から、ほとんど家にいなかった父親。いつしかどういう風に接すれば良いのか分からなくなって、ギクシャクした仲になってしまった。
それが、きっかけはちょっと特殊で、普通の親子では考えられないような関係になってしまったが……こうして父親と楽しい時間を過ごすことができて、ツナは素直に嬉しかった。
「父さん……」
「ん……?」
「……ありがとう」
でもやっぱり気恥ずかしくて、ツナは頬を染め俯きながら……だが確かにそう言った。
「ツナ……」
ちょうどその時、電車がホームへ滑り込んできて、二人はそれへ乗り込んだ。また、いろんな話をしようと考えながら。
だが、
「っ、わ……!」
休日の夕方、この路線は混雑するのか、電車の中は人でいっぱいだった。