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□One side
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ツナはあまり勉強が得意ではないようで、しばしばお互いの家で一緒に宿題をやったり、獄寺に勉強を教えてもらったりしている。獄寺としても、ツナに頼られるのは嬉しいのだが、

(勉強…だけだろうな……)

実は、二人は付き合い始めてしばらく経つのだが、まだ一度も恋人らしいことをしたことがなかった。セックスどころか、キスさえも。
ツナの家はともかく、獄寺はマンションで一人暮らしなので、そういうことをするにはもってこいだというのに。

もちろんまだ中学生なので、ツナはそんなことなど考えもしていないかもしれない。でないと、そうホイホイと誰もいない恋人の家には行かないだろう。

だが、すでに性欲も多分に備わっている獄寺にとっては、生殺しも良いところで、すでに限界が来そうになっていて。

(十代目はそういうのに興味なさそうだし…いや、もしかしたら恥ずかしくて言いだせないだけ、とか……?)

だとしたら、こちらがリードしなければ!と、ちらりとツナの表情をうかがうが……どうもそういう感じには見られない。

(嫌なのに、無理には絶対したくねぇし…ここは耐えるしかないか……)

内心がっくりと肩を落とすも、ツナの意志を尊重しようとする獄寺。

だが、

「ははっ、それでさぁ」
「ああ」
「………」

付き合っていることを隠しているとはいえ、こうも山本と楽しそうに話している様子を見せ付けられては面白くない。

(……前言撤回!これはもう、強行突破に出るしかねぇ……!)

覚悟して下さい十代目!と……何も知らずに笑うツナを見て、獄寺はとうとう決意したのだった。

部下による、下剋上を。


***


「……じゃあ、これは?」
「ああ、ここはですね……」

(あああくそっ、俺のヘタレ野郎……!)

獄寺のマンションへと移動した二人は……いつものように勉強をしていた。

獄寺の頭の中では、部屋へ案内すると同時にツナをベッドへ押し倒して、男らしく、ちょっと強引に唇を奪って衣服も剥ぎ取って……と完璧な計画を立てていたのだが。

「今日も頼む」

ちょっと申し訳なさそうに、そして心から感謝しているといった表情で頼まれては……忠犬よろしく頷くしかなかったのだ。

ツナは優しいのだが、その澄んだ瞳に見つめられると何もかも見透かされているような……何となく逆らえないような気持ちになる。さすがは、マフィアのドンに立つ存在である。

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