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□Unavoidable
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「っ…ん……」

ふと、眩しい光を感じて目を開くと、そこは知らない場所だった。

「ぇ……?」

床も天井も壁も、全てが真っ白などこかの部屋。壁には良く分からない像やオブジェ、絵が飾られていて、酷く不気味な印象を受ける。

(ここ、どこ…俺、いったい……)

ここはどこなのか、何故こんな所にいるのかを考えて、少年……沢田綱吉は、自分の身体の違和感に気付いた。
腕が少し痛いと思ったら、頭上で手錠のような物で戒められて、さらに壁の上部から伸びる鎖に釣り下げられていたのだ。辛うじて座ることはできるが、身動きが取れない。

さらに服装も、カッターシャツと下着だけという不自然な格好だった。しかも、全身が鉛のように重くて気怠い。

(何で…俺……)

だんだんはっきりとしてきた意識の中で、ツナは不安を募らせていく。

その時、

「っ……!」

奥にあった、部屋に一つしかないドアが突然開いて、ツナは身体を跳ねさせた。

そして、

「ぁ……!」

中に入ってきた人物を見た瞬間……自分の身に起こったことを思い出して、ツナは表情を強ばらせたのだった。

その男は、変わった格好をしている。紫の髪は前髪も後ろの髪も斜めに切り揃えられていて、服装は上下ともに真っ白の、何かの制服のような物を身に付けていた。
そして、ノンフレームの眼鏡の向こうにある瞳は、怪しく光っていて。

「目が覚めたのか、沢田綱吉」
「ひっ……!」

ねっとりとした、舐めるような視線に、ツナはぞくりと背筋を震わせる。そして、その男が靴音を鳴らしながら近付いてくると、今度こそパニックに陥った。

「っ、やだっ…来るなっ…来るなよぉっ…!」
「ヒッ…そそる格好だな…!だが……」
「やだっ、ゃっ……ぁぅっ!」

手錠をがちゃがちゃと鳴らして、がむしゃらに足をばたつかせるツナ。
だが、不意に風を切るような音が聞こえたかと思った瞬間……ばしりと鋭い音とともに、身体に焼けるような痛みが走って悲鳴を上げた。

呆然と見上げると、いつの間にか男の手には、細い棒状の鞭が握られていて。それで打たれたのだと分かった瞬間、ツナは表情を青ざめさせた。

男は、鞭の先を何度も指で弾きながら、

「抵抗する姿も良いが……これから私はお前の主人だ。逆らうと容赦はせんぞ」
「っ、ぇ……?」

言っている言葉の意味が分からない。だが、男は怯えたように震えるツナを見下ろしながら、構わずに続けた。

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