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□Princess and gale
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朝。眩しい朝日を受けて輝くのは、最早お馴染みとなった巨大な屋敷。

その最上階にある、広くて荘厳な造りをした部屋。窓から射し込む光でほんのりと明るい、だがしんと静まり返った部屋の扉を……軽くノックする者がいた。

「………」

だが、中から返事はない。もう一度、今度は少し大きく叩いてみるがやはり返事はなくて……その人物は、持っていた鍵でドアを開けると、静かに中へ入った。

まっすぐに寝室へ向かって、その奥にあるキングサイズの、やはり豪奢なベッドの前で止まる。ベッドの上部は、僅かに盛り上がっていて、

「………」

その人物はそれをしばらく眺めた後、黙ったまま布団を捲った。

そこには、まだ十代半ばの小柄な少年が眠っていた。ふわふわの茶色い髪に可愛らしい顔立ち。身体を丸めてくぅくぅと寝息を立てる様子は、小動物か何かのようだ。

だが、その服装は大きめの白いワイシャツ一枚だけで、眠っている間に乱れたのか、それとも誰かに乱されたのか……腹まで捲れ上がって、可愛いおへそや白くほっそりした足、子ども用のような下着が丸見えになっていた。

「……おい」

そこでようやく、その男が言葉を発する。低いが良く通る、鋭い声音だ。

「……おい、起きろ」

だが、声をかけても少年が起きる気配はない。男は少しため息を吐くと、その細い肩を軽く揺らした。

「朝だ。そろそろ起きろ……ツナヨシ」
「ん、ぅ……」

そこでようやく目を覚ましたのか、薄らと目を開けた少年……ツナは、寝呆けた様子でベッドの側にいる人物を見上げた。自分を監禁……いや、面倒を見てくれている、この屋敷の主人かと思って。

だが、

「ふ、ぁ……?」

そこにいたのは、ツナの主人ではなかった。
ワインレッドの髪に鋭い瞳、酷く整った顔立ちの、その片頬にはタトゥーが入っている。年齢は、ジョットと同じくらい。

「ぁ……!」

ようやく意識がはっきりとしたツナは、驚いてベッドから跳ね起きた。

「じ、G…さん……?」
「……、ああ」

それは、ツナの主人……ジョットの幼なじみであり、相棒でもある……初代嵐の守護者、Gだった。

Gは、わたわたと居住まいを正すツナを静かに見下ろしながら、

「……今日、ジョットは仕事に出て夜まで帰ってこねぇ」
「ぇ……」

(そういえば……)

ツナは、昨夜ジョットにいつものように可愛がられた後、ベッドの中で言われた言葉を思い出した。

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