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□おあいこ
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何とも立派な、日本風のお屋敷だ。

「早く入りなよ」
「っ、は…はい……!」

素直に返事をしたものの、ツナは内心焦っていた。

(ど、どうしよう…あっさり雲雀さんの家に来ちゃったけど……)

これから、雲雀の部屋で二人きりになるということは、どんな話をすれば良いのか…いや、まずはご両親に挨拶するべきか、それとも……その他にもたくさんのことがぐるぐると頭を回って、すでにパニックを起こしているツナ。

そもそも、ことあるごとに雲雀から逃げ出してしまうのに、部屋で二人でいて平気でいられるはずが……不安にも襲われる。

「今日は誰もいないから、そんなに硬くならなくても良いよ」
「そ、そうなんですか……」

ということは、完全に雲雀と二人きりということで……ツナは、すでに逃げ出したくなっている。


案内された雲雀の部屋は意外にも洋室で、彼らしく小綺麗に整頓されていた。というか、あまり余計な物がない。

床に置かれたローテーブルに並んで座って、雲雀に出されたお茶を飲みながら、他愛のない話をする。

だが、やはりツナはろくに話を聞くことはできず、お茶の味も良く分からなかった。あの雲雀の家に、それも彼のプライベートルームにいるのだ。これが緊張しない訳がない。

(や、やっぱり…キスとか…する、よね……)

誰もいない家で、誰にも見られない場所にいるのだ。こんな機会は、滅多にないだろう。

半ば脅されるようにして来てしまったが、良く考えれば自分はとんでもない状況にいるのではないか。

(でも……)

ツナはちらりと、静かにお茶を飲む雲雀を盗み見る。あまり見つめ過ぎると、どうしようもなく赤面してしまうから。

(俺も、勇気を出さないと……)

これ以上雲雀を焦れさせてしまうのは、本当に申し訳ない。自分だって、恥ずかしいけどもっと恋人らしいことをしてみたいのだから。

すると、

「何?」
「ほぇっ…?」

いつの間にか、雲雀がこちらを向いていて。ツナはどきりと心臓を跳ねさせた。どうやら、こっそり見ていたことに気付いていたらしい。

「僕の顔に、何か付いてる?」
「い、いえっ…そんなことは……!」

微かに笑みを浮かべた雲雀が、こちらに身を寄せて顔を近付けてくる。

ツナは身体を硬直させた。

(ど、どうしたんだよ俺っ…しっかりするんだろ……!)

「本当に?」
「は、はぃっ…!」
「ふーん?」
「っ……!」

雲雀の表情が、瞳が……あの、いつもの時と同じだということが分かった。これは、この雰囲気は……

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