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□レンアイ受難曲!
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“デート”……それは、お互いの想いを伝え合い、晴れて恋人同士になれた者達だけに許された神聖な行為。

そこでは何者も邪魔することのできない、二人だけの甘美な時間と世界に包まれる。

そう……それはまるで、砂糖菓子のように甘い―――

「……せんぱーい!」

「っ……!」

(ああ……)

蕩けるように甘い―――

「持田先輩―――!」

(俺はもう、死ぬかもしれない……!)

持田剣介、十四歳……彼は今、まさに至福の瞬間を噛み締めているのだった。


良く晴れた日曜日の朝。並盛駅前の広場で。

「すみません先輩!待たせてしまいましたか…?」

小走りでやってきた小柄な少年……沢田綱吉は、すでにそこで待っていた持田剣介にそう言った。
ふわふわの薄茶色の髪に、大きな瞳。色白の肌にふっくらした頬と唇の、可愛らしい顔立ち。

「いや、俺も今来たところだからさ」
「良かったぁ……」

ホッとしたように柔らかく笑うツナに、剣介はにやけそうになるのを必死で堪えていた。


並盛中学の先輩と後輩である二人が恋人同士になったのは、ほんの数週間前。様々な……それはもう言葉では言い尽くせないほどの、様々な障害を乗り越えた剣介が決死の告白をした末に、二人はめでたく付き合うことになったのだ。

これまで登下校を供にしたり、剣介の剣道の試合へツナが応援に行ったり、または放課後に買い物やゲームセンターへ行くなどしていた二人だが……休日に、並盛から離れた場所でデートするのは今日が初めて。

今日は、隣町にあるテーマパークへ行くのだ。

(ああ、まだ信じられねぇ…!ツナと遊園地でデートできる日が来るなんて……!)

元々はデートどころか、付き合うことさえもできるとは思っていなかったのだ。剣介が浮かれるのも、仕方がなかった。

すると、にこにこしていたツナが、突然剣介から視線をそらしてしまう。頬が少し赤くなっていた。

「ん?どうした?」
「いえ、その…先輩の私服姿見るの、初めてで…何か、格好良いなって……」
「っ……!」

照れたようにもじもじするツナに、剣介は危うくその場で身悶えそうになる。Tシャツの上にジャケットを羽織り、下はジーンズという自分では普通の格好だと思っていたから、完全な不意討ちだ。

「つ、ツナこそ…その…に、似合ってるぜ」
「ほ、本当ですか……?」

ゆったりとしたパーカーに七分丈のチノパン、カジュアルなスニーカーを履いたツナは、その辺りにいる女の子よりも可愛いと剣介は思った。

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