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□Doctor's fee
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「え、と……?」
「ああ、今日はもう君が最後だからね」
「ぁ……」
そういえば、受付終了のギリギリの時間に来たのだったと、ツナは少し恥ずかしそうにうつむいた。
だから、気が付かなかった。男が、ツナをどんな目で見ていたのかを。
***
治療を受けるための、薄いローブのような物を身に付けると、施術室の一番奥のスペースへ案内された。ベッドの上へうつ伏せに寝るように言われて、その通りにする。
「先に軽くマッサージをするよ。後で自分でも少し身体を動かしてもらうけど、今は楽にしておいて」
「は、はい……」
緊張していたツナは、何とか身体の力を抜こうとした。他人に触れられるとなると、やはり身構えてしまうのだ。
男がベッドの脇に立って、両手をツナの身体の上に置く。そして、一定の力をかけてマッサージをし始めた。
時に強めに、時に軽く流すように。
「……だいぶ凝り固まってるね。痛くないかい?」
「大丈夫、です……」
少しは痛いが、それは辛い痛みではなく、気持ち良さを伴う痛みで。それでいて、固まった筋肉が解れていくような感覚に、いつしかツナの緊張も解れていった。
(気持ち良い……)
どうやら、評判が良いのは本当だったらしい。まだ若い先生なのに凄いなぁと、ツナはぼんやりと思っていた。
「……じゃあ、今度は仰向けに寝てくれるかい?」
「あ、はい」
しばらく肩や背中、腰を揉み解されて、今度は仰向けになるように言われる。
ゆっくりと仰向けに寝て、だがツナは男と目が合ってどきりとした。頬が赤くなりそうになって、慌てて視線をそらす。
「次は、前をマッサージするからね」
「は、はぃ……」
男の顔を見ることができない。胸元に手が触れて、心臓がどくりと跳ね上がる。
(な、何考えてるんだよ俺…相手は男なのに……!)
いくら男前でも、同性にこれほどドキドキするのはおかしい……内心必死で否定をすると、ツナはなるべく男を見ないようにしていた。先ほどよりも近くなった顔に、再び緊張しながら。
すると、
「ぁっ……!」
胸元から鎖骨、肩の辺りをマッサージしていた手が、不意に胸の突起に触れて、ツナは驚いたような声を上げた。しまったと思った時にはもう遅く、
「どうかした?」
「い、いえ……!」
(は、はずっ…女の子みたいな声出しちゃった……!)
不思議そうに尋ねられて、真っ赤になってしまう。だが背中と違って、前に触れる手つきは優しくて、少しくすぐったいのだ。