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□スパルタ!
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国軍……それは国に、国王に命を捧げ、主を、民を守るために存在するもの。国に害を為す存在があれば、命を省みず戦い排除する屈強な男達の集団。

大切なものを守るために、彼らは常日頃から己の鍛練を怠らない。日々、血を吐くような過酷な訓練をもって、心身ともに極限まで鍛え上げるのだ。

そうして国に、民に仕えてきた軍人達を、民は時に尊敬し、時に畏怖の念を抱いて……だが少年達にとっては、憧れの存在でもあった。

そして男達は、今日も厳しい訓練を行い続ける。

たくましい肉体を持ち、身も心も屈強な男達が……


「―――ゴラァァァッ!沢田ぁぁぁぁっ!」

そう、屈強な……

「沢田綱吉ぃぃぃぃっ!この程度でヘバるんじゃないぜコラァァァッ!」
「っ、はぁっ…はぁっ…ひ、ひぃぃっ……!」

降りしきる太陽の下、所々に草の生えた、小石の混じった土の上で。

(ま、マジでっ…し、死ぬぅぅぅっ……!)

沢田綱吉……ツナは、心の奥底から悲鳴を上げたのだった。


ボンゴレ帝国……様々な種族、民族の住む緑豊かな国。領土は小さいが、だがそう易々と他国には侵略されることのない強さを持つ。
それは皇帝陛下の名の下に、鍛え抜かれた男達で組織された、強力な軍隊があるからだ。

だが、決してそれだけではない。

この国の法律には……14歳以上の男子は年に一度、一週間ほど国軍の下で、兵士としての訓練を受けなければならない……というものがあった。民族も職業も関係なく、男であれば誰であっても。
いざという時に、自国を護るために。

彼らは決められた日から約一週間、自分の住む場所から一番近い軍の宿舎に寝泊まりして、朝から晩までみっちり絞られるのだ。

それは、今年14歳を迎えたツナも同じで……今回が、初めての訓練になる。

だが、

「っ、も…む、むり…です……!」
「コラァ沢田ぁぁっ!」

身体に重りを付けて走らされていたツナは、一時間も経たないうちに、土の上に沈み込んでしまった。全身で荒い息をして、少しも起き上がれそうにない。


ツナはごく普通の、田舎にある農家の息子だ。母親似で背が低く、身体もほっそりとしていて、軍人とは程遠いような容姿をしている。
訓練に参加している他の国民は、同い年くらいのまだ若い者や、父親と同じくらいの者まで様々だ。だが、同年代の少年もすでに成長期を迎え、自分とは比べられないくらい身長も高く、体付きもたくましい者がたくさんいて。

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