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□Red collar
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そしてそれは、お昼休みになっても……

「ツナ君……」
「ご、ごめん…!今日も、約束があるから……」

お弁当を片手に近付いてきた炎真が何かを言う前に、ツナはそそくさと教室を出ていったのだった。

炎真の顔を見ることもできずに。


(……どうして、炎真君は…あんなことを……)

約束があるなんて真っ赤な嘘だ。一人きりで屋上に上りお弁当を食べながら、ツナはそればかり思っていた。

自分は、何か彼の気に障るようなことをしたり、言ったりしたのだろうか……だが、頭の中でぐるぐると考えても、ツナには思い当たる節は見当たらない。

(そろそろ、戻らなきゃ……)

本当は炎真のいる教室に帰りたくなかったが、授業をさぼるわけにもいかない。ツナはもう一度ため息を吐くと、沈んだ気持ちで屋上を後にした。

重い足取りで階段を降りて、教室へと向かう。なるべく炎真の方は見ないようにしよう、と思いながら。

その時、

「っ……!?」

階段下にあったトイレの前を通り過ぎようとした瞬間、中から伸びてきた誰かの手が、ツナの腕をつかんだ。そのまま強い力で引っ張られて、中へ引きずり込まれてしまう。

「っ、ぁ……!?」

手から弁当箱の袋が滑り落ちて、床に転がる音が響いた。

突然のことに固まってしまったツナは、トイレの一番奥にある個室の中に押し込まれてしまう。壁を背に強く押し付けられて初めて、相手の顔を見ることができた。

「っ……炎真…君……」
「………」

そこには、ずっと頭の中を支配していた炎真の姿があって……表情がサッと強ばるのが分かる。静かに笑みを浮かべる彼が、だが怖くて仕方がない。

「なん、で……」
「だってツナ君、ずっと僕のことを避けてたでしょ?」
「そ、れは……」

炎真を直視することができずに、ツナは視線をさ迷わせた。何とか絞りだした声は擦れ、震えていて。

「も、もうすぐ授業…始まるよ…早く、戻らないと……」
「そうだね、早く行かないと遅刻しちゃうね」
「だから、……っ!」

そこでようやく顔を上げて、ツナはびくりと身体を震わせた。

炎真が、この間のような冷たい、暗い笑みを浮かべていたからだ。それだけではなく、どこか熱っぽい瞳をして。

次の瞬間、炎真の手がツナのスラックスに伸ばされた。

「っ、ゃ……!?」
「時間がないから、早く準備しないとね」
「や、だっ…何、するの…!?」

その手がベルトを外そうとするので、ツナは慌てて止めようとする。この間のことを思い出して、顔は真っ青になっていた。

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