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□Red collar
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「―――ツナ君」
「っ……!」

背後から掛けられた声に、大げさなくらい肩を跳ねさせてしまう。

朝。学校に登校して、教室の自分の席で授業の準備をしていたツナは、名前を呼ばれて身体を強ばらせた。

恐る恐る後ろを振り返ると、

「おはよう、ツナ君」
「お、おはよう…炎真…君……」

そこには、クラスメイトの古里炎真が立っていた。穏やかな笑みを浮かべて、ツナをじっと見つめながら。

だが、ツナは堅い表情をしたままだった。どこか、怯えているようにも見える。

「ねぇ、今日……」
「ぁっ…!お、俺…トイレに行ってくるね……!」

炎真が何かを言おうとした瞬間、だがツナは不自然なほど明るい声を出して、慌てたように教室から出ていった。


ツナが出ていったドアをしばらく眺めながら、

「………」

炎真は、口元に薄らと笑みを浮かべたのだった。先ほどとは違って冷たい、仄暗い笑みを。


***


「はぁ……」

急いで教室を後にしたツナは、トイレの鏡の前でため息を吐いた。頭の中に思い浮かぶのは、先ほどのこと。

(どうしよう……)

ツナはここ数日、炎真のことばかりを考えていた。


数日前、ツナは友人である彼の家へ遊びに行ったのだが……そこでいきなり、人には言えないようなことをたくさんされてしまった。
ベッドに括り付けられ、服を脱がされて……ツナの知らないような、大人が使う玩具で気絶するまでいたぶられたのだ。

目が覚めると炎真のベッドの上で寝ていて、服も元の通りだったので、全て夢だったのではないかと思った。

だが、

『ほらツナ君、見て。良く撮れてるでしょ?』

側にいた炎真に携帯を見せられ、そこに映っていた自分の恥ずかしい姿を見て……夢なんかではなかったことを思い知らされた。

その後のことは良く覚えていない。ただ炎真が怖くて、逃げるように家へ帰ったように思う。

そしてその翌朝。どうすれば良いのか分からず、びくびくとしながら学校へ向かうと……炎真は何事もなかったかのように、今までと同じように接してきて。

だが、ツナはもう今までと同じように話すことはできなかった。
当たり前だ。友人だと思っていた人間に、あんな酷いことをされたのだから。

炎真が怖い。いつまた、同じことをされるか。撮られた写真を、もし誰かに見せられたら……そう考えるだけでゾッとする。

だからこの数日間、ツナは炎真と同じ教室にいるだけで、話し掛けられるだけで怯える毎日を過ごしていた。

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