Main2

□Dancing dolls
3ページ/8ページ



ふと涙を止めて、不安そうに尋ねてくるツナに、骸は意識を引き戻される。

「僕はクロームの身体を通じて、ずっとこのアジトの場所を探っていたんです」

だが、場所は特定できても辺りには強力な幻術が掛かっていて、骸でも容易に近付くことはできなかった。それがほんの少し前、急に建物を覆っていた霧が晴れて、ここまで来ることができたのだという。

何故、急に術が解けたのかは分からない。だが骸は、妙な違和感を覚えていた。
こうもあっさり侵入できて、捕まっていたツナと接触できるなんて。何か裏があるのでは、何かの罠ではないかと思うのは当然だろう。

「とにかく、さっさとここを出ますよ。他のボンゴレの連中も、この近くにいますから」
「っ、うん……!」

そしてさらに妙なことに、この場所には自分とツナ以外、誰もいないようで。敵の気配が、全く感じられないのも妙なのだ。

(変ですね……)

不自然しか残らないが、とにかくツナを連れ出そうと、骸は踵を返した。

(良かった……)

一方のツナは、骸に出会えたことで心底安堵していた。ここから抜け出すことができる。もう犯されることも、手酷く嬲られることもない。
何より、ずっと会いたかった仲間にようやく会えるのだ。

だから、ツナはすっかり忘れてしまっていた。自分がなぜ、デイモンに逆らうことができなかったのかを。

自分の身体のことを。

「……っ!」

すたすたと歩きだした骸の後を追おうと、慌てて立ち上がったツナは……ぞくりと背筋に走った悪寒に、その場で固まった。

(ぁっ……!)

次いで、どくどくと心臓が激しく脈打ち始める。この感覚は……。

(う、そ……!)

恐怖で全身から血の気が退いていく。身体ががたがたと震えだす。

なぜ忘れていたのか。

自分の身体は、もはや自分のものではないということを。

(だ、め……!)

何とか身体を保とうとしても、もう遅い。頭の芯がくらりとすると同時に、前方にいる骸の姿がぼやけて見えた。

「?何をしているんです、早く……」

先を歩いていた骸が、怪訝そうに後ろを振り返ろうとして、

「骸っ、逃げて……!」
「!?」

その瞬間、ツナの悲鳴のような声が響いた。

「っ……!」

そして気付いた時には、骸はその場に押し倒されていた。仰向けになった身体にツナが乗っかり、両腕をつかんで押さえ付ける。

その華奢な身体からは想像できないような強い力に、骸は少なからず驚いた。

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ