Main2
□Dancing dolls
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けれど、塞ぎ込んでいたツナはそれが何なのか分からなくて、ずっと蹲ったまま動こうとしなかった。もうどうにでもなれ、という気持ちにさえなっていたから。
だが、
『おやおや……』
「っ……!」
聞き覚えのある声が聞こえたような気がして、びくりと身体が跳ね上がった。
(う、そ…まさか……ううん、違う…どうせ違うんだ……)
はっとしかけたツナだったが、慌てて頭を左右に振る。少しでも期待して、それを裏切られるのは恐かったのだ。
だから、カツカツと靴の音がして、誰かが近付いてきても、決して頭を上げようとはしなかった。希望さえも消し去ろうとしながら。
やがて、靴の音がツナのすぐ側で止まって、
「……何て情けない顔をしているんですか」
「っ……!」
上から降ってきた声に、ツナは弾かれたように顔を上げた。そこにいた人物を、信じられないといった様子で呆然と見つめる。
「っ、な…なん、で……?」
「………」
そこには、ツナの霧の守護者である六道骸が立っていたのだ。眉間を寄せ、呆れているというか、感情の良く読めない表情をして。
(ほん、もの……?)
幻を見ているのではないかと、幻術ではないかと疑ってしまう。
だが、ツナには一瞬で分かった。幻なんかではないということが。
「……何を泣いているんです」
「っ、だって……!」
分かった瞬間、ボロボロと涙が溢れ出てきた。
ずっと仲間に会いたかったのだ。いきなり引き離されて、安否も分からないまま……自分は一人捕らえられ、友人だと思っていた人間に犯されて。
そして、デイモンの所有物となって、身体を好き勝手に弄ばれる毎日。一人ぼっちの不安や恐怖、苦痛でどうにかなってしまいそうだった。
だから、もちろん他の仲間のことも心配だったのだが……骸に会えて、ツナは本当に嬉しかった。
「全く……」
骸は呆れた顔をしつつも、しばらくツナが落ち着くのを待っていた。
「………」
だが、その表情は次第に険しくなっていく。
ツナの首筋や、シャツから覗く肌に付けられた、たくさんのキスマーク。下着から伸びるほっそりとした足にも、それは散りばめられていて。
ツナがどんなことをされていたかなんて、一目で分かる。
(随分、ふざけた真似をしてくれる……)
骸は、この少年を傷付けた敵の存在を、心底憎々しげに思った。
「……でも、どうやってここへ…?みんなは…みんなは無事なの……?」
「え?ええ……」