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□Bitter and bitter
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「探したんだよ?君、すごく良かったからさぁ。どうしても忘れられなくて…」
「っ、悪いけど俺は……」
馴れ馴れしく腰を抱かれ、いやらしく撫でられて、ぞわりと肌があわ立つ。離れようとしても、がっしりと抱かれているのでなかなか振りほどけない。
「放せ、よ……俺は、同じ人とはヤらないんだから」
「そんなつれないこと言わずに……抱かせてくれたら、ちゃんとお金はあげるよ」
「っ、放せ……!」
騒ぎを起こしたくなくて、強く抵抗することができない。
すると何を思ったのか、男はツナの腕をつかむと路地の奥へ引っ張り込んだ。
「っ、何するんだよ……!」
建物の間の、狭く薄暗い通路で、壁に背中を強く押し付けられる。キツく睨み上げても、男はにやにやと笑ったままだった。
「冷たいなぁ……そういうキツいところも堪んないけど」
「退け……!」
「君が悪いんだよ?素直に言うことを聞かないから」
「っ……!」
いきなりパーカーのチャックを一気に下ろされて、ツナは身体を強ばらせる。中に何も身に付けず、外気に触れて震える白い肌を、男は舐めるように眺めた。
「ああ……やっぱり綺麗な肌だよねぇ」
「っ、やめ……!」
うっとり呟くと、男はツナの上半身に顔を埋めていく。ほどなく熱い吐息がかかり舌を這わされて、嫌悪感に背筋に冷たいものが走り抜けた。
「っ、ゃ……!」
「ここで騒ぎを起こしたくないだろう?それとも、見物客が欲しいのかい?」
「っ、っ……!」
その言葉に、ツナは悔しげに唇を噛み締める。何とか抜け出そうとしても、両腕を強くつかまれ壁に押さえ込まれ、下半身も男の身体を押し付けられているのでかなわない。
「はぁっ……!」
「ん、ぅ……!」
(気持ち、悪い……!)
肌に触れる荒い呼吸も、濡れた舌の感触も気持ち悪くて仕方がない。
だが男の言う通り、こんな所にろくな人間はいないから、助けを求めて叫んでも無駄だろう。一緒に犯されるかもしれない。
それでも、男に抱かれること自体嫌なのに、その上こんな所でなんて絶対に考えられなかった。
「っ、いい加減にっ……!」
「本当はこうしてほしかったんだよね?だって君は、随分な淫乱だったから」
「っ……!」
『やはり、淫乱のようだな』
(違う…違うっ……!)
再び頭に響いた声に、必死に首を振る。思い出したくないのに、思い出す度に心を掻き乱される。
自分は強い人間だと思っていたのに……どんどん惨めで、弱い存在だということを思い知らされてしまう。