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□Bitter and bitter
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「はぁっ、はぁっ……っ、ぅっ…!」
「っ、ぁぁっ……!」

夢中で腰を打ち付けていた男が低く呻いて、ナカに埋め込まれた欲がびくびくと脈打った。同時に、奥にどろりとした大量の熱を吐き出され、全身がわななく。

決して快感からではない。どうしようもない嫌悪感からだ。

「っ、んんっ……!」

自分で扱いていた自身から、無理やり絞りだすように精を吐き出して、ツナはぐったりとベッドに沈み込む。

(く、そ……)

後から押し寄せてくるものは、もう何も考えたくないほどの疲労感だけ。





「……もう、行くのかい?」

後始末をするという男を断り一人でシャワーを浴びて、ナカに吐き出されたモノも全部自分で掻き出して出てくると、先ほどまで自分を抱いていた男がそう言った。

それには答えないで、ツナはさっさと身支度を整え部屋を出ようとする。

すると、

「っ……!」
「つれないなぁ。さっきまで、あんなに積極的だったのに」

近付いてきた男に手をつかまれ、腕の中に閉じ込められてしまった。抱き締められて、背筋がぞくりと震える。

「君、すごく良かったよ。また会えないかな……?」
「っ、っ……!」

耳にねっとりとした熱い吐息がかかり、後ろに回された手に尻をいやらしく撫で回されて、気持ち悪さに鳥肌が立つ。

「ね、良いだろう…?そうすれば、お金ももっとたくさん……」

男の目が欲情を孕んで、押し付けられた股間がまた熱をもち始めているのが感じられて。

だが、

「……悪いけど俺、一度ヤッた人とはもう二度と会わないから」

ツナは男の身体を冷たく押し退けると、引き止める声も聞かずに部屋を出た。





足早にホテルを後にしながら、ツナは少し上がった呼吸を何とか落ち着けようとする。

(冗談じゃない……)

ツナと寝た男は、そのほとんどが彼を酷く気に入って、また関係を持とうとする。

だが、ツナがその誘いに乗ることは決してなかった。本当は、見ず知らずの男とこんな行為をするのも嫌なのに、深い関係になるなんて考えられない。

だから、ツナは今までセックスをした男達の顔も、もう覚えていないのだ。

「………」

……たった一人を除いては。


***


高校生になってから、事情により男相手に売春を始めたツナ。これまで、生活に必要な金を稼ぐためだけに、好きでもない、しかも自分と同じ男に抱かれてきた。

自分を抱く男達を、快楽しか求めない、無能で低俗な人間だと心の中で罵りながら。

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