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□Wild beasts
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犬は、昔から大の苦手。

一匹だけでも大騒ぎなのに、

それが二匹もいたら、一体どうなってしまうのだろう……。


***


「もぉぉ無理だってぇぇっ……!」

穏やかな休日の昼下がり。

どこにでもある普通の、平和なはずの沢田家に悲鳴が響き渡った。次いで、どったんばったんと何かが暴れる音。

音の出どころは、二階にある部屋の一つ。そこでは、

「やだっ、ザンザスっ…!ヤダってば!」
「るせぇ、ドカス。黙ってろ」

ベッドの上で、二人の人間が取っ組み合いをしていた。一人はこの家の長男、部屋の主である沢田綱吉。

そして、そのツナに覆い被さる長身の男……漆黒の隊服に鋭い眼光をした、ヴァリアーのボス、ザンザス。

ツナは、何とかザンザスの下から抜け出そうとするが、自分よりも力の強い、体格も全く違う男にのしかかられて身動きが取れない。

「っ、ほんとにやだよっ…!こんな、真っ昼間に……!」
「………」
「リボーン達も、いつ帰ってくるか分からないのに……!」

それでも、ツナは必死でザンザスを押し返そうとしていた。


ザンザスがツナの元を訪れるようになってしばらく経つ。たまにフラリとやってきては、部屋に居座ってずっとツナの様子を眺めたり、今のように襲い掛かって(?)くるのだ。

ツナも、もうザンザスのことは怖くないし、何だかんだ言って受け入れているのだが……。

だが、こんな明るいうちに盛られたのは初めてで。いくらリボーンや母親達が買い物に出掛けているとはいえ、いつ帰ってくるか分からない状況で行為に及ぶのは嫌だった。

というよりも……実はここ最近、ザンザスは何故か頻繁にツナの元を訪れている。その度に激しく抱かれているので、ツナはもうヘトヘトだったのだ。

「ざ、ざん……」

ちらりとザンザスを見ると、相変わらず人を射殺しそうな瞳は、だが欲情を孕んだようにぎらついていて。身体を押さえ付けようとする手つきも、いつもより乱暴で……。

(も、もしかして…は、発情期……?)

以前から彼のことを犬っぽく思っていたツナ。無表情なので良く分からないが、どこか興奮しているように見えるザンザスに、そんなことを考えてしまう。

「……って冗談言ってる場合じゃないぃっ…!」

こう頻繁に抱かれていては、本当に身体が保たない。ツナは、がむしゃらに手足をばたつかせていた。

「チッ……暴れんな」
「っ、ぁ…だ…め……!」

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