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□Snow white
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そして、最近ツナが白蘭に対して抱く疑問はそれだけではなく、
「そう、良い子だね」
「っ、ん……!」
小さく頷いたツナに満足そうに笑うと、白蘭はそのまま顔を近付けて……唇に自分のそれを重ねた。
「ん、んんっ…ふ…んぅっ……!」
角度を変えて何度も啄むようにキスされた後、ふっくらとした唇を割って、熱い舌が侵入してくる。その舌に口内を掻き回され、ツナは呼吸を乱し始めた。
白蘭は、何故か同じ男であり、弟であるツナにキスをする。家を出る時や帰った時、一緒に過ごす時もしばしば。
キスだけではなく、スキンシップも多かった。ずっとツナを抱き締めて、頭を撫でたりするのだ。
兄弟とは思えないくらい、白蘭のツナに対する接し方は親密だった。
小さい頃はあまり疑問に思わなかった。だが成長するにつれ、兄弟でそんなことをするのはおかしいと知って、
「ん、ぅっ…ふ、ぁ……!」
「可愛いね」
「ぁっ…に、さま……!」
それでも、ツナはされるがままになっていた。
ようやく解放されて、ツナは真っ赤な顔と潤んだ瞳で白蘭を見上げる。
薄く笑われて、もう一度端正な顔が近付いてきた。
「………!」
またキスされる、と目をギュッと閉じた瞬間、
―――コンコン
「っ……!」
控え目にドアがノックされる音に、ツナは驚いて身体を離した。いけないことをしている、という気持ちがあるからだ。
「―――すみません。綱吉様、少しよろしいですか」
「ぇ…ぁ…おれ……?」
ドアの向こうから聞こえてきた執事の声に、ツナは目を丸くする。何かと忙しい白蘭が呼ばれることは良くあるが、ツナに用があることはほとんどないのだ。
「綱吉様?」
「ぁっ…は、いっ…すぐに行きます……!」
ツナは慌ててソファーから降りると、小走りに入り口へ向かった。
白蘭が、どんな顔をしていたかも知らないで。
***
部屋から出ると初老の執事が待っていて、ツナに客が来たと伝えた。相手は、ツナのクラスメイトだと言う。
(誰だろう……)
誰かが家に訪ねてくることなどなかったので、ツナは緊張しながら玄関を出た。
広い庭を抜けて、大きな門へ向かう。
そこには、
「ぁ……」
「よっ、ツナ」
先ほど声をかけてきたクラスメイトがいた。
一体どうしたんだろう、と戸惑うように見上げれば、
「ほら、これ」
「………?」
「数学の教科書。ツナ、学校に忘れて帰っただろ?」