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□Toy box
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思わずため息を吐きたくなるような、朝の満員電車。

通勤、通学をするサラリーマンや学生でいっぱいのその空間は、物がぎゅうぎゅうに詰め込まれた箱の中のようで。人々は誰もが疲れ切った様子で、列車の振動に合わせ左右に揺られていた。


そんな中、

「っ……!」

たくさんの人の間に埋もれ、左右から押し潰されそうになりながら……ツナは、咄嗟に漏れそうになる熱い吐息を必死に我慢していた。

その原因は、列車に乗ったすぐ直後から、胸元や臀部に走った違和感。

(も…やめろ、よ……!)

そこには、誰とも知れない人間の手が怪しく這い回っていた。明らかに、大人の男だと分かるそれが。


ツナは、この春先からずっと痴漢の被害に遭っていた。それも一度や二度ではなく頻繁に、ほぼ毎日のように。
高校生になって、学校までは地元の駅から一回乗り換えを挟んで約一時間。その列車の中で。

初めて痴漢をされた時、気持ち悪いと思うと同時にただ驚いた。何かの間違いではないかと。男が痴漢に遭うなんて、考えもしなかったから。

だから、こんなことは滅多にないだろうと軽く思っていた。

だが……それからツナは、頻繁に痴漢に遭うようになった。同じ人間かどうかは分からない。いつも後ろにいるし、顔を見るのは怖いから。

あんまりしつこく狙われるので、乗る車両を変えたりしたのだが……それでも同じような目に遭ってしまう。
さすがに本当に怖くなって、ある時とうとう乗る時間帯も変えた。これなら大丈夫だろうと、そう思って。

だが……それでも同じだったのだ。まるでその男は、ツナの行動を何もかも知っているかのように。

「っ、ぅ……!」

ゴツゴツとした手に上半身を撫で回され、その頂きにある突起を捕らえられて、ツナはびくりと身体を跳ねさせた。そこに触れられると、じんとした痺れが走るのだ。

そんな反応に気を良くしたのか、臀部をまさぐっていたもう片方の手も上へ回って、両方の乳首を捕らえられてしまう。カッターシャツ越しにすりすりとそれを擦られ、走った痺れに身体が震えた。


初めは、ただ触れられるだけだった。胸や尻を撫でられたり、身体を密着させられたり。

だが、それは少しずつエスカレートして、どんどん執拗になっていった。
敏感な胸の突起や自身を重点的に責められ、尻の割れ目をいやらしくなぞられる。それも服の上からだけではなく、カッターシャツやスラックス、下着の間から直に触られることも珍しくない。

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