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□伝えたくて
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スクアーロが基本的に大きな声で話す(というか叫ぶ)ので、ツナもつい負けないように声を張り上げてしまう。
何故こんなに必死になるのか分からなかったが、どうしても彼にだけは自分の気持ちを分かってもらいたかったのだ。
「だって会いたかったんだもん!会って、ちゃんとお礼を言いたかったんだ…!」
「だからそれがおかしいって言ってんだろぉが!俺に会いたいなんざ…」
「っっっ…だって俺、スクアーロのこと好きなんだもん!……あ」
勢い余っておもいっきり叫んで、ツナははたと気が付いた。何か今、とんでもないことを口走ったような。
見ると、スクアーロも目を見開いたままぽかんとしている。
一瞬で、ツナは茹でダコのように真っ赤になった。
「あ…そ、その…い、今のなし!俺、何にも言ってナイ!」
「っ、お゛ぉぃっ…!」
先ほどとは逆に、慌てて部屋から飛び出そうとしたツナは、だが再び腕を捕らえられ引き止められてしまう。
「っ、放してっ……!」
「待て待てぇっ!い、今お前っ…!」
「だ、だから何でもないってば!放してよぉっ…!」
スクアーロの顔を見ることができない。真っ赤になった顔を見られたくなくて、ツナは必死に顔を背けようとしていた。
どうしてなのか、いつからなのかなんて分からない。ただ気が付けば、彼のことばかり考えるようになっていたのだ。
そして今、無意識に出た言葉で分かった。自分は、スクアーロが好きなのだということが。
「だからっ、テメェやっぱりおかしいだろぉっ…!」
「だ、だって好きなんだもんっ…!良いじゃんっ…どうせスクアーロは、俺のこと嫌いなんだからっ…!」
「う゛ぉぉぉぃ誰がそんなこと言ったぁ゛!俺だってテメェが好きだ!」
「……ぇ」
「……、はっ…!」
勢い良く吐き出された言葉に、再び双方の時間がぴたりと止まる。
大きな目をさらに見開いて見上げてくるツナに、今度はスクアーロが赤面する番だった。
「え…す、スクアーロ…ほん、と……?」
「っ…チッ……!」
決まりが悪そうに舌打ちすると、スクアーロは誤魔化すように前髪を掻き上げながら、
「俺だって良く分からねぇよ……ただ、気付いたら…いつの間にか……」
「っ……!」
いつもと違って酷く戸惑い、歯切れ悪く喋る彼に、ツナは胸が酷く熱くなるのを感じた。
ずっと敵だと思われていた相手と両思いだったのだ。これが嬉しくないはずがない。
「スクアーロっ…!嬉しい…俺……!」
「っ……!」