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□伝えたくて
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真っ先に見えた煌めくような銀髪に、ツナはインターホンを鳴らそうとした体勢のまま固まってしまう。

そして、それは相手も同じだったようで、

「な、テメェ……!」

ツナを見ながら、しばらくぽかんとしていた。

ややあって、

「っ、う゛ぉぉぃっ!ちょっと来い!」
「ぇっ…ぁっ……!」

先に立ち直ったのは相手の方だった。銀の長髪に漆黒の隊服に身を包んだ男……スクアーロは、険しい表情になるとツナの腕をつかんで、部屋の中へ引っ張り込んだ。

そのまま部屋の奥まで連れていくと、勢い良く振り返ってその細い両肩をつかむ。

「テメェ、こんな所へ何しに来やがった!」
「え、と……」
「テメェみたいな奴が…ひ、一人でうろつきやがって!」

それは一体、どういう意味で言っているのか……良く分からなかったが、それよりもツナは、こんなに間近でスクアーロと対面していることに、激しく胸を高鳴らせていた。怒ったような表情の、だが男らしく整った顔を見上げながら。

「って聞いてんのかぁ゛!?」
「ぁっ…ご、ごめん…なさい……」

無意識に見惚れてしまっていたため、スクアーロの言葉が耳に入らなかったらしい。焦れたように怒鳴る彼に、ツナはハッと我に返ったのだった。

「と、とにかく今すぐ帰れ!俺は何も見なかった!」
「ぇっ…ま、待って……!」

肩を押され部屋から出されそうになったので、慌ててその身体を押し返そうとする。まだ会うことができただけで、要件を伝えていないのだ。

「ちょっと待って…!ここへ来たのは…す、スクアーロに会うためなんだ……!」
「は……ぁ゛ぁっ…!?」
「スクアーロはあんまり分からないかもしれないけど…ほら、未来ですごく助けてもらったから…その、お礼を言いたくて……」

最後は恥ずかしくなってしまい、俯いてぽつぽつと話すツナ。スクアーロは信じられないものを見るような顔をして、しばらく無言だった。

「……テメェ、そんなことでわざわざ来やがったのか」
「そんなことって!俺にとっては重要だよ!」
「うお゛っ!?」

呆れたような言い方に、ついムキになって自分よりも長身の男の胸に詰め寄る。その勢いに、相手が怯むほど。

「スクアーロや、たくさんの人達のおかげで無事に帰ってこれたんだから!お礼を言いたいって思うのは当たり前だろ…!」
「だからって、何でこの間まで敵同士だった奴に会いくるんだぁ゛!どう考えてもおかしいだろぉが!」
「なっ…おかしくなんかないよ!」

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