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□A wish
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放課後。ツナは廊下の隅っこから、こっそりと雲雀のいるであろう応接室をうかがっていた。

(雲雀さん、怒ってるだろうな……)

足音を立てないようにそろそろと通路を進んで、応接室のドアの前へ立つ。ノックしようと伸ばされた手は、だがすぐに引っ込められてしまった。

(どうしよう…せっかく雲雀さんと恋人同士になれたのに…これじゃ嫌われちゃうよ……)

ツナはずっと、雲雀に申し訳なく思っていた。ツナだって、本当はずっと雲雀といたいし、たくさん話もしたいのだ。
だが、雲雀を見ると胸が信じられないくらいドキドキして、頭の中が真っ白になってしまって。

今も、朝や昼のことを謝ろうと、そして雲雀の仕事が終わるまで待って、一緒に帰ろうと伝えたくて来たのだが……ドアの向こうに雲雀がいると思うだけでもう緊張してしまって、なかなかノックすることができない。


しばらく手を出したり引っ込めたり、ドアの前をうろうろしていたツナだったが、

(や、やっぱり無理だよぉ…雲雀さんごめんなさいっ……!)

一人でその場でじたばたとした後、くるりと向きを変え駆け出してしまった。

だが、

「っ、わぁっ…!?」

背後でドアの開く音がしたかと思うと、伸びてきた何者かの手に腕を捕まれた。そのまま強い力で引っ張られて、応接室の中へ引きずり込まれてしまう。

パニックを起こしかけたツナだが、背後から抱き締められ、その温もりと匂い、そして、

「……綱吉」
「っ……!」

耳元で囁かれた声に、誰なのかが分かって……余計にパニックを起こした。

「ひ、ひひひひばりさっ……!」
「やっとつかまえたよ」
「っっ……!」

心臓があり得ないくらい激しく脈打っている。身体がどんどん熱くなって、特に顔は焼けるようで。

雲雀は、ツナが部屋の前でうろちょろしているのに気付いていたらしい。

カチコチに固まっていると、抱き締められたまま部屋の中央まで連れていかれて……ソファーに押し倒された。

「ひばり、さ……!」
「ちょっと酷いんじゃない?ここのところ、ずっと僕を避けて」
「っ…ご、ごめんなさい……」

雲雀は意地の悪い笑みを浮かべながら、だが少し拗ねたように言う。

謝りつつも、ツナは雲雀の顔をまともに見ることができなかった。顔は、湯気が出そうなくらい熱くなっている。

(ひ、雲雀さんの顔が…こんなに近くに……!)

もっとちゃんと謝らなければならないのに、あわあわと泣きそうになりながら口を開閉させるだけで、何も言うことができない。

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