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□Loyalty
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あの男といる時間が恐怖でしかないツナにとって、こうして友達と何気なく話したり、一緒に過ごす時間が一番心が休まる。
いつものように笑顔で話し掛けてくれる獄寺に、ホッとした。

「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな」
「ぜひ!」

今まで獄寺の家には行ったことがなかったし、どんな所に住んでいるのか興味もある。ツナはつられて笑顔になると、獄寺の後に着いていった。

何の疑いもなく、安心しきった様子で。

獄寺が、そんなツナをじっと見つめていたのも知らないで。


***


初めて訪れた獄寺の家は、大きなマンションの一室だった。案内されたリビングで、ツナはソファー座りながら、獄寺が飲み物を用意する様子をぼんやりと眺める。

(やっぱり…獄寺君や山本には相談した方が良いのかな……)

本当は絶対に知られたくないけど、このままあの男に好き勝手にされ続けたら、本当に駄目になってしまいそうで。

「……十代目、どこかお加減でも悪いんですか?」
「えっ…?」

隣に座った獄寺が心配そうに覗き込んできて、ツナは心臓を跳ねさせた。

「ここ最近、調子が優れないように見えますが……」
「そ、そんなことないよ!その…遅くまでゲームして、寝不足なだけで……」

無理に明るい声を出して、咄嗟にそう誤魔化してしまう。
だが、目を泳がせ視線をそらしたツナは気付かなかった。すぐ側にいる獄寺が、自分を食い入るように見つめていたことを。

「そう言えば、最近放課後に良くどこかへ向かわれてますよね」
「っ、それは…補習で……」

じりじりと追い詰められるような感覚に、ツナはようやく違和感を感じた。
視線を戻せば、妙に鋭い光を宿した獄寺の瞳があって……急に、言い様のない不安に駆られる。

無意識に、ツナは顔を近付けてくる獄寺から離れようとした。

「十代目」
「っ……!」

だが、突然腕をつかまれたと思ったら、次の瞬間視界に映ったのは天井だった。背中には、冷たくて硬い床の感触。

「ぇ…ぇ……?」

呆然とするツナの視界を遮るように、獄寺が覆い被さってくる。ツナは、まだ状況を理解できないでいた。

だが、獄寺だけは落ち着いた様子で、それどころか口元に笑みすら浮かべていて……ツナの不安はさらに膨らんでいく。

「十代目…俺、見たんですよ」
「っ、な…なに、を……?」

優しい声音に、ぞくりと背筋が震える。何とか絞りだした声は酷く擦れ、震えていた。

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