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□Loyalty
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その時に受けた衝撃を、一体何て言えば良かったのか。


『ひ、ぁぁっ…ぁっ……!』

放課後。人気のなくなった校舎の、薄暗い教室の一つ。窓から差し込む夕陽で、オレンジ色に照らされたその中で。

視線の先には、白く滑らかな肌、華奢だがしなやかな肢体が艶めかしく揺れていた。
薄桃色のふっくらとした唇からは絶えず甘い声が零れ、静まり返ったそこに響き渡っている。

『ゃ、ぁっ…せんせっ…やめて、ぇっ…!』

自分の上にのしかかる脅威に訴える表情は悲痛で、大きな瞳からは大粒の涙を溢れさせていて。

獣のような男にねじ伏せられ、為す術もなく嬲られる哀れな小動物。


そんな貴方を見て、俺は……。


***


「十代目」
「っ……!」

放課後。生徒で騒がしい教室の中、前の方の席で帰り支度をしていたツナは、背後からかけられた声にびくりと細い肩を揺らした。
振り返れば、そこには親しいクラスメイトの姿。

「ぁ…獄寺くん……」
「帰りましょう、十代目」
「う、うん……!」

驚いたような表情をしていたツナは、慌てて笑顔を作ると頷いた。


最近のツナは元気がない。疲れた様子を見せるだけではなく、何かに怯えるように、いつも不安そうに縮こまっている。

それもそのはず、ツナには深刻な悩みがあったのだ。

先日、ツナが人気のない体育館倉庫の掃除をしようとした時、ツナのクラスを担当している体育教諭にいきなり襲われた。嫌がる身体を押さえ付けられ、めちゃくちゃに犯されてしまったのだ。

それだけでもかなりのショックなのに、その男はそれから何度も同じ行為を強制してきて……身体を好き勝手に弄ばれ、ツナは身も心も疲れ果てていた。

またいつ呼び出されるか分からない。執拗に迫る男が怖くて仕方がない。
だが、こんなことを家族にも友人にも相談することはできないし、絶対に知られたくなかった。

だから、男を恐れながら送る日々はかなりの苦痛で……獄寺と帰り道を歩きながら、ツナは気付かれないようにため息を吐いた。
今日は幸運にも呼び出されなかった。でも、明日はどうか分からない。こんなことが、いつまで続くのか……。

「……十代目、今日俺の家に来ませんか?」
「え?」

ぐるぐると頭の中で考え込んでいたツナは、獄寺の言ったことを聞き逃してしまった。

「宿題、俺の家で一緒にやりましょうよ。アホ牛達がいたら、ゆっくりできないでしょう?」
「あ、うん…そうだね」

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