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□籠目
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どれほど貶められても、
狂いそうな屈辱を与えられても、
いっそのこと、死んだ方がマシかもしれないのに、
それでもまだ生きているのは、
自分を保っていられるのは、
「っ、陛…下……!」
それは全て、あの御方のため。
***
「っ…っ、ぅ……!」
淀んだ空気が全身にのしかかってくるような、薄暗い地下牢。その一角にくぐもった、呻くような声が響く。
石の壁と鉄格子で囲まれた牢獄の一つ。その中に、一人の少年が捕らえられていた。
手枷をはめられた両手は天井から垂れ下がった鎖に繋がれて、辛うじて座ることができる体勢。ぼろぼろになった、汚れたシャツ一枚だけを羽織り、下は何も身に付けていない。
その頬は赤く上気して、表情は苦しそうに歪められている。口枷をはめられているため、満足に呼吸をすることもできない。
「っ、ふ…ぅ……!」
少年……綱吉は、いったいいつまでこの苦しみが続くのだろう、とぼんやりと思った。
敵国に捕らえられ、調教師と名乗る男に拷問と称して凌辱を受けて何日経っただろうか。耐え切れず気を失っても、目が覚めるとまた拷問される。
それを何回繰り返したのか、もう時間の感覚はとうにない。地下牢なので陽の光も届かず、今が朝なのか夜なのかも分からない。
そして、最後に意識を無くして目が覚めた今、あの男の姿はなかった。その代わり、
「っ、っ…ん、くっ……!」
綱吉は鼻から抜けたような息を漏らして、華奢な身体を震わせた。全身は薄く桃色に染まり、瞳も涙で潤んでいる。
何故なら、目が覚めると全身が異様に熱く、さらに後ろに違和感があって……見ると、そこには太い張り型が埋め込まれていたのだ。
身体が疼き、今すぐ肢体を掻き抱きたくて堪らないのに、両手を戒められていて叶わない。身を捩ればナカに埋め込まれたモノが動き、狂いそうな快感を与えられる。
自害するのを阻むためにはめられた口枷は、喘ぐことさえも許さない。
いつまでそうしていたのか。気が再び遠くなりそうになった頃、地下牢に靴の響く音が聞こえて、綱吉はハッと我に返った。途端に弱々しかった瞳に光が戻り、剣呑に吊り上がっていく。
やがて牢の前に現れた男を、綱吉は射殺さんばかりに睨み上げた。
「……ようやく目が覚めましたか」
漆黒の軍服を身に付けた男……六道骸は、綱吉を見下ろすと薄く笑った。