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□Little wolf!
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なのに、
「っ、だ…め……」
はぁはぁと息を乱しながら、ツナは泣きそうに顔を歪めた。
「ぜんぜん…たりない、よぉ……!」
***
翌朝。ツナは気だるい身体を引きずって登校した。
「……十代目、どこかお加減が悪いんですか?」
「そうそう、最近ずっと元気ないよな?」
「っ、ぇ……」
心配そうに尋ねてくる親友二人にぎくりとして、慌てて笑顔を作る。
「な、何でもないよ!遅くまでゲームしちゃって、寝不足なだけ!」
「そうか?なら良いけど」
言えるわけがない。
毎日毎日、一人でエッチなことをしているなんて。それなのにまだ、身体が疼いて仕方がないなんて。
それまで性のことなど何も知らなかったツナ。それが、ジョット達によって強い快楽を叩き込まれ、すっかり淫らな身体に変えられてしまった。
それなのにいきなり元の時代に戻されて、絶え間なく与えられていた快感が一瞬でなくなって……こんなことになるとは思いもしなかった。
過去での生活は、不安もあったが酷く心地よく、甘いものだったのだ。
(どうしよう……)
こんなこと、誰にも相談できるはずがない。だが、身体の疼きは日ごとに増すばかりで。
途方に暮れていたその時、
「ちょっとそこ。群れてると噛み殺すよ」
「っ……!」
校門を通り抜けようとしたツナ達に、すぐ近くから声がかかった。聞き覚えのある声にツナが顔を上げて、そして大きく目を見開く。
「あ、アラっ……」
言い掛けて、ハッとして口をつぐんだ。一瞬、過去で激しく求めてきた男の一人だと思ったからだ。
だが、その人物は記憶の中の男とは違った。容姿は似ているが、年齢もだいぶ若い。
「ひ、雲雀さん……」
それは、並盛中学の風紀委員長、雲雀恭弥だった。他の風紀委員と一緒に、朝礼活動(という名の制裁)をしていたのだ。
だが、その顔立ちや雰囲気はとても初代雲の守護者アラウディに似ていて、ツナは思わずぽぅっと見惚れてしまった。
「……何?沢田綱吉。人の顔をじろじろ見て」
「ぇっ…ぁっ……!」
(だ、だめ……!)
雲雀に睨まれ、ツナは顔を真っ赤にして、焦ったように視線をそらす。アラウディにされたことを思い出してしまい、身体がじくじくと疼き始めたからだ。
「な、何でもないですっ…!」
「えっ、十代目!?」
「ツナっ?」
熱を持ち始めた身体に血の気が引いて、ツナは慌ててその場から走り去った。
後ろから、驚いたような獄寺と山本の声にも構わないで。