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□Puppeteer
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案の定、今にも泣きそうな顔をするツナに、ジュリーの笑みが深くなる。

「まぁ、俺の目的は別にあるんだけどねぇ」
「っ、ぇ……?」

そこでようやく、ツナは異変に気が付いた。ジュリーという男がまとう、異様な気配に。

ぞくりと、背筋が震えた。

「ぁ……な、に…だれ……?」
「あれぇ?やっぱりツナちゃんは誤魔化せないかぁ」

胸騒ぎがする。心臓がばくばくと脈打って治まらない。
目の前にいる男が、急に誰だか分からなくなる。

「さすが、ボンゴレの血を引いているだけのことはある」
「っ……!」

その時、ジュリーの声音が変わって、全身が霧のようなものに包まれた。ツナも良く知る、幻術特有の霧。

「ぁ……!」
「ヌフフ……」

次の瞬間にはジュリーの姿はどこにもなく、現れたのは独特の髪型と笑い方をした、長身の青年だった。整った顔立ちをしているが、その笑みは酷く冷たい。

(骸…じゃ、ない…この人、確か……)

そして、ツナはその人物に見覚えがあった。

「で…D…スペード……?」

そう、それは初代ボンゴレファミリー霧の守護者である、D.スペードその人だった。

「おや、私のことをご存知でしたか」

デイモンと呼ばれた男がベッドの上に片膝を着き、スプリングがぎしりと軋む。
ツナは、その場から動けないでいた。

「な…なん、で……」

なぜそんな昔の人間が今ここにいるのか、なぜボンゴレの人間が加藤ジュリーの身体を乗っ取り、シモンファミリーの一員になっているのか……分からないことが多すぎて、ツナはただ混乱していた。

「ヌフフ…何ででしょうねぇ……?」

分からないが、この男からはただならぬ不穏な気配を感じる。ここにいてはいけない、と超直感が警鐘を鳴らしている。

「っ……!」

だが、再び逃げようとする前に、一瞬でベッドの上に押し倒されてしまった。俯せにされ、腰を高く上げさせられて、ツナの顔が真っ青になる。

「ひっ、ゃ…やだっ…!」

この男や炎真に犯された恐怖に、ツナは押さえ付けられた身体をがむしゃらに捩った。そこで初めて、自分が下に何も身に付けていないことに気付く。
またさっきと同じことをされるのかと思うと、怖くて仕方がなかった。

「やだっ…やだぁっ……!」
「心配しなくても、切れてしまった所に薬を塗るだけですよ」

声音は優しいが、何を考えているのか分からないデイモンが怖くて、ツナは痛む身体に鞭を打って暴れ続ける。

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