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□The sky
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そして、今この場にいる少年達……獄寺隼人、山本武、笹川了平はツナの友人であり、ボンゴレ十代目を守護する者……これまで共に戦ってきた仲間でもあるのだ。
そして今日は、特に何でもない平穏な日常だった。ただ違ったのは、いつも一緒帰る獄寺が所用のため、そして山本や笹川は部活があるので、ツナはたまたま一人で帰ることになったのだが。
だから、誰もツナが無事に帰宅したことを知らない。それがまさか、行方不明になっていたとは。
「っ、探しに行きます!今すぐ!」
「待て」
「えっ!?」
今にも家を飛び出しそうな守護者の面々を、リボーンはただ一人冷静に、だが険しい顔をして制した。
「何で止めるんだよ小僧!早く行かねぇと…」
「良いから聞け。ツナはただの行方不明じゃねぇ……誘拐されたんだ」
「「「!」」」
その言葉に、三人は一瞬で全身を緊張させたのだった。
ただの一般人を攫うのではない。それがツナであれば、彼らにとっては特別な意味を持つ。
何故なら、ツナはマフィアのボス候補なのだ。それを狙うなど、敵対する組織の犯行の可能性が高い。
それほど、ツナの立場は常に危険を伴うのだから。
ただ幸いなのは、攫われたとしても命を奪われる心配はないことだろう。ツナはごく普通の子どもに見えるが、あの最強のマフィアボンゴレファミリーの正統な後継者なのだ。
その存在に手を出すということは、かなりのリスクを背負うことになるだろうから。
だが命を奪われる可能性は低いとはいえ、ただで返してくれるとは思えない。
目的は一体何なのか。ツナを人質にして何かを要求するつもりか、それとも……
「ツナは今朝、家を出たきり帰ってきてねぇ。恐らく、学校からの帰宅途中に攫われたんだろう」
「そんな……」
「現在ボンゴレが総力を挙げて捜索中だが、まだ居場所も敵の正体も不明だ」
「っ……!」
その場にいた誰もが、唇を噛み締めただろう。大切な友人であり仲間であるツナが危険な目に遭っていることに気付けなかった、そして今こうして助けに行くこともできないでいるのが悔しくて。
すると、
「ただ……少し気になることがある」
「え?」
「?何なのだ、それは」
リボーンが眉を寄せてそう言うので、獄寺達も身を乗り出して聞く体勢になる。ツナのことを、一言でも聞き漏らしたくないのだ。
「ボンゴレに並盛を捜索させている時に、妙なことを聞いたんだ」
何でも……何人かの人間が、町でツナの姿を見たというのだ。恐らく学校帰りであろう、制服姿に鞄を持って、一人で商店街を歩くツナを。