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□In the water
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そしてツナが夏休み初日からこのような場所に来たのは、もちろん遊ぶためではなく泳ぎの練習をするためなのだが……

「はぁ……」

視線の先にある水深の違う二つのプール。その中間には、競泳用のコースがいくつか作られているのだが……そこでは二、三人の大人と多くの子ども達がいて……泳ぎの練習をしていた。

そう、ここでは夏休みの期間を利用してスイミングスクールが開かれているのだ。

「何で俺が、あんなところに……」

そして、何故ツナが憂鬱な気分でここにいるのかと言うと……母親の奈々が、そのスイミングスクールとやらに参加するよう申し込みをしてしまったからで。良い思い付きというのは、どうやらこのことだったらしい。

泳ぎを教えてくれるのはありがたいのだが、見るからに受講生は小学生など、小さな子どもばかりで。中学生にもなって、ばた足から教えてもらうのは実に恥ずかしい……だから、ツナはなかなか一歩を踏み出せないでいた。

(やっぱり…止めようかな……)

何もしないで帰れば怒られそうだが、あの中に入る勇気などない。泳げないから何だ!何か悪いんだ!……と、ツナは無理やり自分を納得させようとしていた。

だが……帰ろうと、踵を返しかけた時だった。

「……なぁ、君」
「わっ!?」

後ろから声をかけられて、肩を叩かれたのは。びっくりして振り返ると、

「ぁ……」

そこには、一人の若い男がいた。
大学生くらいだろうか。すらりとした長身に整った顔立ちは、いかにも女の子にモテそうに見える。

何よりも、水着だけを身に付け惜し気もなくさらされた身体は……しなやかな筋肉の付いた、均整の取れた綺麗な体付きをしていて。

「っ……」

何だか直視できなくなり、ツナは頬を染めるとうつむいてしまった。同性だというのに何を照れているんだ、と内心恥ずかしくなりながら。

すると、

「君、沢田綱吉君……だよな?」
「ぇっ…?何で、俺の名前…」
「ずっとあっちの方気にしてたから、受講生かと思って……中学生は君だけだったし」
「ぁ……」

ということは、この青年はどうやらスイミングスクールの講師らしい。
というか、ずっと覗き見していたのがばれていたとか、やはり中学生なんか自分一人なのだという羞恥に身体が熱くなる。今すぐ帰りたい気持ちになった。

すると、男はそんなツナの様子に何となく気持ちを察したのか、

「あー、あのさ……俺、講師って言ってもまだ始めたばかりで、バイトだしサポート役みたいなもんなんだ」
「………?」

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