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□Unavoidable
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「名乗るのが遅れたな。私はミルフィオーレファミリー六弔花の一人、グロキシニアだ」
「ミル、フィ…?ろく、ちょうか……?」
聞き慣れない言葉に、ツナは戸惑い不安を募らせるばかりだ。だが、この男が危険な人物で、自分は今危険な状況にあることだけは分かった。
「我々の目的はボンゴレリング……よって、他の守護者どものリングも集めなければならない」
「………」
「だから、お前達のアジトがどこにあるのかを知る必要がある」
「ぇ……」
そこで、グロキシニアは目をさらに細めると、
「さぁ、吐いてもらおうか?ボンゴレのアジトの場所を」
「っ、な…俺は……!」
そんなことを言われても、ツナには訳が分からないだけだ。
ヴァリアーとの戦いの後、平和な日々が戻ったと思ったらいきなり十年後の未来に飛ばされたツナ。そこで、このグロキシニアという男に出会って、いきなり口では言えないような行為をされたのだ。
やがて心も身体も耐えきれなくなって、意識を失ってしまったようで……気が付けば、ここにいた。
だから、過去から来たばかりのツナはアジトの場所はおろか、今の自分の状況さえも全く分かっていないのだ。もちろん、もしアジトの場所を知っていても、敵に教えるようなことはしないが。
「っ、俺は…何も知らな……っ、ぁ゙っ…!」
だが、訴えようとした言葉は、再び振り下ろされた鞭によって阻まれてしまった。胸元に鋭い痛みが走って、ツナは悲鳴を上げる。
「素直に吐かないと、痛い目に遭うだけだぞ」
「っ、だからっ…知らな……ぁっ…っ、ぅぅぅ……!」
どんなに必死に訴えても、男は聞こうとはしない。何度も身体を打たれて、ツナは強い痛みと恐怖に泣き出してしまった。
危険な目に遭ったことはあるが、一人で……それも、こんな拷問をされたことなどなかったのだから無理もない。
それに、ツナが過去から来たのはグロキシニアも知っているはずで……アジトの場所を知らないことなど、彼も分かっている。つまり男は分かっていて、わざとツナを嬲って楽しんでいるのだ。
「ぁ…ぅぅ、ぅ……!」
何回鞭を振るわれただろうか。じくじくとした痛みにがっくりとうなだれた時、グロキシニアはようやくそれを下ろすと……ツナの顎を掬い上げて、その顔を覗き込んだ。
「っ、ぁ……!」
「強情な奴だ……さすがはボンゴレ十代目といったところか」
「だ、から…ほんとう、に……!」
本当に、ツナはそう言うしかないのだ。