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□レンアイ受難曲!
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「………」
「………」

お互いを誉め合ったのは良いが、何だか気恥ずかしくなって……二人で頬を染め、しばらくもじもじしてしまう。

やがて、

「……そ、そろそろ行くか」
「そ、そうですね」

まだどこか照れくさかったが、再び視線が合うとにっこりと笑い合って……そして、二人並んで駅へと向かった。

(今日は、最高の一日にするぞ……!)

自分よりも小さい、愛しい存在を隣に感じながら、剣介は心に誓ったのだった。





そんな、駅へと向かう二人の後ろ姿を、こっそりとうかがう視線が一つ、二つ……全部で五つ。

「……くっそぉぉ…!何であんな奴なんかが、十代目と……!」
「うわー……実際目の当たりにすると、やっぱり穏やかじゃいられねーなぁ」
「うむ…良く分からんが、何かこう…胸がモヤモヤするな!」

広場の隅っこ……ベンチの後ろや木の影に隠れているのは、五人の人間。

「やっぱり、あの時に咬み殺しておくべきだったよ」
「今からでも遅くはありません、すぐに僕の幻術で……」

それは、時期ボンゴレ十代目候補であるツナを守るべき守護者……獄寺隼人、山本武、笹川了平、雲雀恭弥、六道骸の五人だった。

ツナにボスとしての親愛を通り越した想いを抱いている彼らは、自分達の主人がどこの誰とも知れない男と付き合い、デートすると聞いて、いてもたってもいられなくなったらしい。

「でもよ、跡を付けるのは良いとして、それからどうするつもりだ?」
「決まってんだろ!今すぐ追い付いて持田の野郎を果たす!」
「いいや、ここは正々堂々と決闘を申し込むべきであろう!」
「なぁに甘いこと言ってんだ芝生頭!相手はあの持田だぞ!?ちんたらしてたら十代目が危ねぇ!」
「いや、持田はクラスメイトだがそこまで悪い奴ではないぞ!ちょっとひねくれたところはあるかもしれんが」
「てめえはどっちの味方だ!」
「あーあー」

すぐ言い合いになってしまう獄寺と了平にため息を吐いて、山本は残りの二人にも視線を向ける。

「雲雀と骸は?やっぱり妨害とかする気か?」
「勘違いしないでよ山本武。僕はたまたま通りかかっただけで、あの小動物と草食動物が風紀を乱さないか見張ってるだけなんだから」
「僕だって、たまたま通りかかったら標的である沢田綱吉がいただけです。これは、チャンスをうかがっているんですよ」
「駄目だこりゃ」

ツナがいないとチームワークも何もないメンバーに、山本はやっぱりため息を吐いたのだった。


***

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