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□スパルタ!
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誰もが男らしい容姿をした中で、ツナは一人だけかなり浮いていた。

加えて、ツナは体力が皆無な上に、運動神経も全く無いのではと思うくらい悪い。走ればすぐに転ける、力尽きる。
重い物もろくに持てない。小さな銃を持つのも一苦労で、ライフルなんかとんでもなかった。おまけに射撃のセンスも壊滅的で、撃てばあさっての方向へ飛んでいく。
ツナが撃つ時は、周りは何メートルも離れるよう命令が出たほどだ。

だから、そんな大の大人でも悲鳴を上げるような訓練に、ツナが耐えられるはずがなかった。

その上、

「はぁっ…はぁっ……!」

まだ息を乱しながらも何とか上体だけ起こすと、視界に誰かの足が映る。ゆっくりと顔を上げれば、そこには……

「さっさと立て!そんなことじゃ、立派な男にはなれないぜコラ!」

すらりとした長身に、しなやかな身体を迷彩服に包んだ、まだ二十代前半の青年が仁王立ちになっていた。輝くような金髪に澄んだ碧眼をした、とても整った顔立ちをしている。

「す、すみませんコロネロ教官……!」

それは、今回の訓練の指導者として派遣されてきた、コロネロという軍人だった。彼は、その若さで特殊部隊のエースになったエリートでもある。

そして、鬼教官としても有名で……鈍臭くてダメダメなツナは、毎日彼にこってりと絞られているのだった。

「大体、お前はいつも――!」

懇々と説教を受けるツナに、多くの視線が集まる。他の男達の視線が。

(ああ、また怒られちゃった…俺のせいで、空気を重くして…皆、絶対に怒ってるよね……)

ちなみに、ツナは知らない。むさ苦しい男しかいないこの訓練場で、ツナのような小動物みたいな少年は、密かに癒しの存在になっていることを。

「って聞いてるのかコラ!」
「ひぃぃすみませ…、っ…!」

物凄い剣幕で怒鳴るコロネロに怯えつつも、ツナは端正な顔立ちの彼にちょっと見惚れてしまう。

だがそれも一瞬で、さらにどやされるか絞られるかであろう自分の状況に、ツナは涙目で彼を見上げた。

すると、

「……、とにかく!早く訓練に戻れ!」
「ぇ……」

(あ、あれ……?)

コロネロはそう言うと、向きを変えて向こうへ行ってしまったので、ツナは少し拍子抜けをする。

訓練に入って今日でちょうど中間地点。始めの数日は、ツナがヘバったりドジをしたりすると、もっと長いお説教とさらなる特訓が待っていたのに……昨日や今日などは、彼はあまり厳しくは言わなかった。そして、今も……

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