From flowery bowers
□第5章
1ページ/52ページ
妙な焦りも、苛立ちも……良く分からない自分の感情も。
時間が経つにつれて、収まるどころか日に日に強さを増していくそれらに……
正直、うんざりしてたんだ。
だから、その原因が…自分の気持ちが分かれば、全部解決するんだと……
そう、思ってたのに―――――
***
この四月、入学早々訳の分からない学校に呆れさせられ、謎の新入生歓迎会でやたら走り回ることになり(無駄に負傷もした)、
六月、やっぱり普通じゃない体育大会で振り回され、厄介な事件にも巻き込まれて、
七月。夏休みの直前、ちょっとした好奇心のせいで………面倒事に、自ら首を突っ込む羽目になってから、
―――――約一ヶ月が経った、今。現在。
「……………あちぃ」
八月下旬の、まだまだ猛暑が続く中……中庭の花壇にしゃがみ込んで雑草を抜きながら、今日何度目かの言葉を呟いた。今日どころか、夏休み前のだんだん暑くなってきた辺りからほぼ毎回呟いてるけど。
ただ、あの時と違って……日差しの強さが半端ないし、アスファルトからの熱気もヤバい。中庭でも、この時間帯は直射日光がガンガン当たる(というか、突き刺さってる)。
おまけに、そこら辺にある木からセミの大合唱が聞こえてきて……真夏の庭仕事ほど大変なものはないと思った。真冬は真冬で大変だろうけど。
そんなこんなで、もう八月も終わりだ。一学期が終わって一ヶ月ちょっと。夏休みもあっという間で、来週からは早くも二学期が始まる。
(夏休みなんて、本当に一瞬だな……)
まぁ、そこまで悲しくはないけど……草むしりをしながら、この一ヶ月を適当に振り返ることにした。
七月半ばの、あの夜の調査(ただの肝試しとも言う)での一件の後。
俺達四人は無事にこっそり帰れたみたいで(もしかしたらばれてたのかもしれねぇけど)、後で誰からも呼び出しや咎めはなかった。
ただ、その日起こったこと……リボーンやあの仮面の男達にばれて、罰を受ける代わりに協力しろって言われたことは夢じゃない。
(別に、あれから何か変わった訳じゃねぇし……まだ何もねぇけど)
それからすぐに夏休みに入ったこともあって、リボーンからはまだ何も言われてない。あの秘密の集団から再び接触されることもなかった。
というか、昼間は誰がその一員なのかはっきり分からないしな……
『夏休みが終わったら、またお手伝いを頼めるのかな?』