From flowery bowers
□第3章
1ページ/208ページ
やけに落ち着かねぇ気持ちとか、言葉では表せない奇妙な感情だとか、
自分のことが良く分からなくなるのは……つい最近のことだけど。
良く考えてみれば……
……アイツのことも、そう詳しく知ってる訳じゃないんだよな。昔も……今も、分からないことだらけだ。
そう、自分は何も知らない。アイツのこと、何も。
ただ、それは―――――
***
初っぱなから濃い四月が終わって……あっという間に五月の半ば過ぎ。
それまでにあったことと言ったら……入学から一ヶ月経って、ちょっと慣れてきた頃に来る五月の始めの大型連休。つまり、ゴールデンウイーク。
それを過ぎれば、また元の学校生活。先日には初めての定期考査、中間テストが行われた。
ちなみに、その中間試験の方から触れておくと……結果的には、俺は何とか乗り切ることができた。授業も小難しいし若干不安だったけど、分からないことはチュン太と獄寺に聞いたから。
時には勉強会を開いて、問題とか一緒にやったしな(俺と山本は専ら教えてもらってたけど)。
その甲斐があってか、欠点を取らずに済んで……一応、どれもだいたい平均点くらいだった。なかなかのもんだろ?
まぁ、獄寺は学年のかなり上位に食い込むくらいの成績だし(全然勉強してるように見えねぇのに)、チュン太も優秀組の一員だから、俺とは比べものにならないけどな。きっとこれからも世話になるだろう。
山本は……
「しばらく補習に行かないとなーはははっ」
合格点に達しなかった教科もあったみたいで、追試を受けるらしい。おい、笑ってて大丈夫なのか。
でも山本は元々スポーツ推薦で入ったし、あんだけ毎日部活やってたのに、ある程度点が取れたんだからすげぇよ。きっと頭の回転が早いんだろう。
まぁ、面倒なだけの試験の話はこれくらいにして……
多分、誰もが心待ちにしてた大型連休の方は……俺は、特に何の変哲もなく終わった。
他の奴らは、帰省して家族と優雅に過ごしたり旅行に行ったりがほとんどだったみたいだけど。さすがお坊ちゃん校。実家に帰ってもいない俺とは随分な違いだ。
ただ、他の……獄寺は姿があんまり見えなかったから分からねぇけど、山本も野球の遠征で家には帰ってないらしい。だから、俺らの中で帰省したのはチュン太だけか。
『たっちゃんは家に帰らないの?』
『あー……』
連休に入る前日、帰る準備をしてたチュン太に聞かれたのを思い出す。