From flowery bowers
□第5章
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内容は、盆の間に並盛に帰るのかどうか。もし帰らないなら……俺が実家に帰る前に一度会えないか、っていうこと。
気まずさが無くなった訳でもないし、アイツに対する妙なもやもやは続いたままなんだが……何というか、
(会わなかったら会わなかったで、やっぱり変な感じなんだよな……)
特別に話したいことがある訳でも、何かをしたい訳でもない。ただ、会って…会ってると落ち着くこともあるというか、あの小動物みたいな姿を眺めたいというか……本当、自分でも何言ってるのか分からねぇ。
……朝の悩みも、解消されないままなんだけどな。
けどとにかく、もう一回会って……この間の街でのこととか、謝っておこうと思ったんだ。
けど……それは、結局できなかった。ツナから返事は返ってきたものの、
『―――ごめんさっちゃん!』
夏も実家に戻る予定はないらしく、ちょうど仕事も忙しいみたいで……つまりは、会えないんだそうだ。
この間のこともあったから、その時は避けられてるのかと思ったけど……仕事だって言われれば、子どもはどうすることもできない。また新学期に入ったら、って諦めることになった。
母親に聞いても、アイツはここ何年も実家にほとんど帰ってないらしい。向こうの母親が良く嘆いてるそうだ。
母親とツナの母親は仲が良いままで、向こうがイタリアから帰ってきた後は良く会って話しをしたり、お茶をしたりしてるらしい。
『ていうかツナちゃんに会ったこと、どうして言ってくれなかったの〜!?』
草むしりしてる俺をガクガク揺さ振りながら、母親は本気で怒ってた。昔から、姉も気が強くさばさばしたした性格だし息子もこんな感じだから……ツナみたいな可愛い息子が欲しかったらしい。
それをはっきり言われたこっちとしては、どう返事をすれば良いのか困るんだけどな。
だから、久しぶりに会いたかったんだろうけど……どのみち仕事で帰ってこれないんだから、俺のせいじゃないだろ。
『だって、最後に会ったのはあの子が中学生の時でしょ?それも最後の方はだんだん疎遠になって、知らない間に遠くの学校に行っちゃうし……』
まぁ、アイツも受験生だったし、俺とは元々年が離れてたから……むしろ、それまで良く一緒にいたこと自体、不思議だったと思う。
けど、
『そう言えば……何でアナタ達って、急に会わなくなっちゃったの?ケンカでも、した?』
『………』