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□Struggle!
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何故なら、
「ところで十代目。俺、今からフリーなのですが…」
「そうそう、俺もこれから校内回ろうと思っててさぁ。だから……」
「………!」
「一緒に行きませんか?」「一緒に行こうぜ!」
「っっっ断るっ……!」
二人の声が同時に響いた瞬間、ツナはそう叫ぶと脱兎のごとく走りだしたのだった。
「十代目っ!?」
「おいツナっ?」
背後で驚いたような声を上げる二人に構わず、振り返りもせずに猛ダッシュする。
(やっぱり来たか!)
そして、その表情は親友に向けるそれではなく、まるで戦うべき敵と対峙した時のような顔をしていた。
何故、ツナはいきなりこんな行動に出たのか。
それは忘れもしない去年の文化祭……ツナのクラスは、実は今年と同じくコスプレ喫茶をした。
そしてそこでも、ツナはクラスの女子に命令され女装をさせられたのだが……
(あああ思い出しただけでも寒気が……!)
その時の衣装は何だっただろうか。思い出したくもないが、確か今みたいなフリフリひらひらの何かだったような気がする……そして今回同様、周りからは可愛いと言われたり良く分からないが興奮されたりしていた。
だから、友人である獄寺達にも同じ反応を……笑われたりからかわれたりするのだと思っていて。いや、むしろそれだけならどれほど良かったか。
だが、それだけでは済まなかったのだ。彼らは、ツナの姿を見るやいなや……その、口では言えないようなとんでもない事態になってしまって。
(また同じことを繰り返してたまるかっ…!)
今年もコスプレ喫茶をすることになって、ツナが一番懸念していたことはこれだった。もしかしたら昨年と同じことになるのでは……いや、なるに違いないと。
その予感は、見事に当たってしまった訳だが。
まるで、ツナの自由時間を知っていたかのように待ち伏せをしていた二人。ツナは今日まで、準備に追われて二人にはあまり会っていないし、そのような会話もしていない。
これは確実に……二人は、昨年の惨劇を繰り返すつもりだ。
いや、二人だけでなく……
(そうはさせないからな!)
だが、ツナも素直にはいそうですかと許すつもりはない。この日を、ただ怯えて待っていた訳ではないのだ。
むしろ、昨年の悪夢を繰り返さないよう……静かに、だが激しく闘志を燃やしていて。
(絶対に、もう好き勝手なことはさせてたまるか!)
こうして、奇抜な衣装に身を包むツナと、それを取り巻く男達との、世にも奇妙な戦いが幕を開けたのだった。
***