蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□大嫌いな修行をしようか
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「念?」
キルアが出ていって1ヶ月ちょっと。そしてイルミがハンター試験に行って1週間。俺は1人で仕事に行くようになっていた。今はシルバさんに呼び出されてシルバさんの部屋にいる。
『あぁ、聞いたことないか?』
「あるけど・・・俺にも出来るの?」
『お前のオーラの量は凄まじい。体力も申し分ないしな、そろそろ習得してもいいだろう』
「修行?」
『あぁ、嫌いか?』
「嫌い」
『なら手短に済ますか。今から“精孔”をこじ開ける』
「え、無理矢理な感じ?」
『お前なら死なないさ』
ドンッと身体に衝撃が走りなにかが身体から溢れ出す感覚に陥る。
「な・・・にこれ・・・っ」
『落ち着け。血が身体を巡るのをイメージするんだ』
「は・・・っ」
血が巡るイメージなんて急に言われてもわっかんねーよ!なんて心の中で叫びながらわからないなりに必死にイメージすれば少し楽になる。どうやら死は免れたみたいだ。
「はぁ・・・」
『思った通り、オーラの量が膨大だな』
「いいこと、なのか?」
『あぁ。今お前がオーラを身に纏っている状態が“纏”だ』
「てん・・・」
『よし、今日から修行開始だ』
大嫌いな修行が始まりました。
修行を始めてから今日で1週間。
毎日一生分の集中をしたんじゃないかってぐらいの集中力を浪費し、ぐったりとベッドに倒れこんでいる。
「しんど・・・」
纏と絶と練と発、とりあえず基本の四大行は完璧に出来るようになった。明日は水見式ってのをするらしい。
嫌だ嫌だと言いながらも修行は真面目にやってる。キルアとイルミがいないとなると暇でしょうがなかったのだ。カルトと遊ぶにもベッタリしている訳にもいかず、1人で部屋にいることが多かった。
そうなると嫌でも考えてしまうのが蜘蛛のこと。実はこの1年半、何度もみんなから連絡があった。特に最初の半年は毎日のように。でも俺は一度も出なかった。俺が思ってるほど難しい問題じゃないのかもしれないけど、電話に出る勇気なんかなかったんだ。
「・・・あー!!もう、やめだ。寝よ」
。