蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□可愛い弟たちとお出掛け
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『カンナ姉、外行こうぜ外!!』
俺の部屋に転がるように入ってきたのはキルア。初めて会った日から1ヶ月が経ったけど、毎日俺の部屋に来ている。
「外?俺は良いけど・・・」
『イル兄にも親父にも許可取ったぜ』
「おーやるじゃん。なら行こっか」
『やったね!』
はしゃぐキルアの手を取り番傘を持ち部屋を出た。
向かってるのは外に出る玄関ではなくキキョウさんの部屋だ。
『カンナ姉?』
「もう1人、誘ってもいいか?」
『誰?』
「カルト」
『そっか、カンナ姉ほんと優しいな』
「・・・優し、い?俺が?」
『おう』
「ないない」
『なんでだよ、俺が言ってんだからそこはお礼でいいじゃんか』
「・・・ありがと」
わしゃわしゃとキルアの髪を乱してキキョウさんの部屋のドアをノックする。
『どうぞ』
「失礼しまーす」
『あらぁカンナちゃん、どうしたのかしら?』
「今からキルアと外出するんだけど、カルトも一緒にどうかなって」
『僕・・・?』
「うん、一緒に行かないか?」
『そうね!!行ってらっしゃいなカルトちゃん』
『・・・はい、お母さま』
「じゃあ夕飯までには帰るから」
ペコリとキキョウさんにお辞儀をして部屋を出ると小さく溜め息を漏らした。
キキョウさんってなんか苦手なんだよな。
『どうして、ですか・・・?』
「ん?カルトとあんまり遊んだことないなーと思って。俺と出掛けるの嫌?」
『嫌じゃないです』
「そっか、とりあえずその敬語やめろよ・・・キルアみたいにさ」
『わかりまし・・・わかった』
「よし!行くか」
左手でキルアと手を繋ぎ右手でちょっと強引にカルトの手を取り、番傘は帯に刺している。少し不恰好だけどコイツらと手を繋ぐためならいいや。
『あちーな・・・』
「もう夏だな・・・最悪」
『日射し無理なんだっけ?』
「そう、だから傘」
『傘さしたら手繋げねーじゃん』
文句を言ってムッと頬を膨らませるキルアと無言で少し残念そうに俺を見上げるカルト。
それはちょっとズルくないか?
「・・・じゃあキルア、俺の背中にしがみついてろ」
『は?』
「手は繋げないけどいいだろ?」
『っおう』
「カルトは俺と手繋いどこ」
『うんっ』
キルアを背中にしがみつかせてカルトとはそのまま右手で手を繋ぎ傘を左手でさす。
これなら2人も日射しを浴びないから少しは涼しいだろうし一石二鳥ってやつ?
「って、このまま歩いてたらいつまでも街につかなくね?」
『たしかに』
『走る?』
「んー・・・よし、カルト俺の首に抱き着いてろ」
訳のわからないと言うようにきょとんとするカルトの目の前にしゃがむと迷いながらも腕を回すのを確認してまた立ち上がる。
指笛を吹き暫くすると飛んでくるのは、空夜。
「空夜ー」
『わぁ!すごいすごいっ』
『すげぇ!!』
「さて、今から空の旅にご招待ってね♪」
『ほんと?』
「二人とも落っこちんなよ?」
空夜に右手を掴ませて空に上がって行く。しっかりと傘をさして。
「街まで飛べそうか?」
子供とはいえいつもより二人も多いから心配になって声をかけると元気な鳴き声が返ってきてやっぱり頼もしいなと思う。
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