蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□チビ兎ちゃんと変態奇術師
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『君、誰?』
「・・・お前は?」
そこら辺で見つけたソファを広間に置いてだらけていると急に目の前に顔に変なメイクをしたピエロのような男が現れた。
広間は愚かアジトには今俺しかいない。
敵なら俺が殺るしかないか・・・。
『あ、もしかして君がフェイタンのお気に入りのカンナかい?』
「お気に入りかは知らねえけど、ふーたんは俺の大事な人だよ」
『ふーたん・・・ね』
「で?お前誰?」
『ボクはヒソカ、奇術師さ』
成る程、だからピエロみたいな格好をしてるのか。
「蜘蛛?」
『その通り』
「へー・・・って、近くないか?」
『細かい事は気にするなよ』
「え、ちょ・・・っ」
グッとソファに座る俺を押し倒すような形でヒソカが迫ってくる。
これはもしかしなくても危ない?なんて焦っていると両手を押さえられて身動きが出来なくなった。
「っ・・・」
『いいねぇ・・・その表情♪』
あ、視界がぼやけてきた。
でも会ったばかりの男の前で泣くなんて俺のプライドが許さない。
グッと唇を噛んで涙を耐えていると―――
『お前・・・!!』
『おっと』
ヒソカが目の前から消え、代わりに怒りに顔を歪ますふーたんがいる。
「・・・っふーたん!!」
『大丈夫だたか』
「ん、大丈夫・・・」
『クックック、本当にご執着のようだね』
『殺されたいか』
「駄目だよ」
ふーたんの首に腕を回すと少し空気が和らいだ。
それからヒソカに体を向けて指を突きつける。
「お前、俺の兄貴に似てる」
『カンナのお兄さん?』
「自分勝手で強い奴と戦うのが好きで掴み所のない鬼畜な奴」
『ブラコンなくせに良く言うね』
「ふ、ふーたん!!」
『クックック・・・ならボクの事、嫌いじゃないのかい?』
「まぁ・・・な。ふーたんに危害を加えなけりゃ嫌いにはならないかなー」
『コイツは存在が危害ね』
「あはっ、ふーたんそれは俺にはどーしようもないよ」
ケラケラと笑っていると出掛けていた団員がぞろぞろと帰ってきた。
『あ、ヒソカ』
『やあ』
『・・・なんであんたがいるんだい』
『連れないなぁマチ・・・ボクだって団員なんだからいいじゃないか』
マチはヒソカが嫌いなようですよ。
ものすごい露骨に嫌そうな顔してるもん。
まぁあの性格じゃ仕方ないかな、なんて失礼な事を思っているとヒソカが『そうだ』と声を出す。
「?」
『ここに新しく入ったメンバーが来るって聞いたんだけど』
『あぁ、そういやまだだな』
「新しいメンバー?」
『あれ?言ってなかったかい?ナンバー8が新しくなったんだよ』
『ワタシあいつ嫌いね』
心底嫌そうな顔をするふーたんは、以前仕事で一緒になったらしい。
その時ふと携帯が震えて開くと知らないアドレスからのメール。
<ナンバー8、用心するに越したことはないよ>
内容からして蜘蛛のメンバーであることがわかり、メンバーでアドレスを知らないのはヒソカとナンバー8だけ・・・
「ヒソカ?」
目が合って名前を呼べばニコリと笑って頷くヒソカ。
どういうこと、なんだろうか。
。